【インドで爆売れ中】 スズキの世界戦略車、フロンクスが満を持して日本上陸!

公開 : 2024.10.17 12:35

クーペライクなスタイルを持つコンパクトSUV、スズキ・フロンクスが発売開始されました。生産国インドでは、SUV史上最速で販売20万台を達成するなど大反響。日本向けに最適化を施し、満を持しての登場です。内田俊一が概要を解説します。

インドで大反響の世界戦略車

スズキはインドのグジャラート工場で生産している、クーペライクなデザインを纏ったコンパクトSUV、『スズキ・フロンクス』の販売を開始した。価格は254万1000円からだ。

フロンクスはインドのSUV市場において、史上最速で累計販売台数20万台を達成。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2024のワールドアーバーンカー部門のファイナリストにも選ばれるなど、まさにスズキの世界戦略車となっている。

インドで生産されるスズキ・フロンクス。車名の由来はフロンティア+クロスオーバーの造語。
インドで生産されるスズキ・フロンクス。車名の由来はフロンティア+クロスオーバーの造語。    平井大介

過去にスズキは海外生産車を輸入していたが、グローバルで仕様が統一されていることがほとんどであり、それは日本に向けても同様だった。しかし今回のフロンクスは、日本仕様として新たに様々な開発が行われてきたのが特徴だ。

まずはフロンクスの概要について説明しておこう。

ボディサイズは全長3995mm、全幅1765mm、全高1550mm(含むシャークフィンアンテナ)で、多くの立体駐車場に入るサイズだ。ホイールベースは2520mm、最小回転半径は4.8mで、スイフトよりも僅かにボディは大きいものの、最小回転半径は同じ値となった。

搭載されるエンジンは1.5L直列4気筒(K15C型)にマイルドハイブリッドを組み合わせ、最高出力は74ps/6000rpm、最大トルクは135Nm(13.8kg-m)/4400rpmを発揮。そこに6速ATが組み合わされ、WLTCモード値の燃費は19.0km/l(2WD)と17.8km/l(4WD)を記録している。

発表会が行われた10月16日から販売開始されたが、既に予約が受け付けられており、現在約9000台のオーダーが入っている状況。月販1000台を想定していることから、日本市場からの期待値が高いことが伺われる。

日本専用に開発された4WD

さて、日本仕様として様々な開発が行われているが、中でも4WDはインドをはじめ他の仕向地にはない仕様だ。基本はスイフトと同じ機構を用いており、通常走行時は前輪寄りに駆動力を配分。滑りやすい雪道などでは前後輪に最適な駆動力を配分する、ビスカスカップリング式4WDシステムを採用する。

4WDには走行シーンによって使い分けられるモードを追加。急な下り坂などで使用できるヒルディセントコントロール、そして滑りやすい路面でスリップを防止するグリップコントロール、エンジンの出力を自動で抑えブレーキの制御も併用し安心して発進できるスノーモードの3つで、スポーツモードは2WDと4WD両方に設定される。

日本向けに様々な開発を実施。特に4WDモデルの設定が一番のトピックだ。
日本向けに様々な開発を実施。特に4WDモデルの設定が一番のトピックだ。    平井大介

開発責任者の森田祐司氏は、「以前日本に導入していたバレーノに、4WDの設定はなかった。しかし日本では積雪地域が多く4WDの必要な方が多いことを痛感。フロンクスでは、そういったお客様の声に応えられるように、日本向けに4WDを設定した」と明かす。ドライブモードの切り替えも「雪道や悪路で安心して走れるよう」との思いからだ。2WDにおいてもスポーツモードが備わるので、「軽快な走りを楽しんでもらえるだろう」とコメントした。

さらに日本の冬を意識して、シートヒーターやリアヒーターダクト、ドアミラーヒーターも日本専用に装備。インドなどではセンターコンソール後端にエアコンの吹き出し口を設けているが、ヒーターダクトなどと干渉することからリアヒーターダクトを優先し廃されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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