【既に受注の7割を占める人気車】 11代目爽快シビックに復活したRSはニア・タイプR!

公開 : 2024.10.18 07:05

街角でもしっかりRSの本質が味わえる

今回の試乗では、『RS』と『EX』のガソリン車の比較となった。

RSと聞くとスパルタンなクルマを連想するが、シビックならば、そんな緊張感とは無縁だ。クラッチペダルが軽いため、誰でも乗りやすく、ストップ&ゴーも容易だが、何よりも素晴らしい点は、街角でもしっかりRSの本質が味わえることだ。

白いボディカラーだと、タイプRにも見えるシビックRS。リアウイングを追加したくなる。
白いボディカラーだと、タイプRにも見えるシビックRS。リアウイングを追加したくなる。    佐藤亮太

シフトダウン時はレブマチックがエンジン回転数を合わせてくれるので、スムーズなギアチェンジが行え、減速Gの発生も穏やか。エンジンの軽快さとあいまって、シフトアップでも回転落ちが素早くなったことで、スムーズな加速動作に繋がっている。悪戯心でギア飛ばしの横着シフトをしても、しっかりと応えてくれた。

シフトとペダルの操作でクルマの動きは作りやすいのに、誰が運転してもギクシャクした走りになりにくい。家族でMT車を共有する人には、待ちに待った仕様だろう。またエンジンの制御とレスポンスが変わったことで、従来型MTで感じた低回転時のトルクの薄さも消えていた。ただし、スポーツモードではよりアクセルレスポンスが良くなるが、劇的な違いはないため、これが標準仕様でも良いと感じた。

爽快な走りの味をより強く感じさせるEX

やや硬質となったフットワークは、軽快な動きとドライバーとの一体感を高めてくれる。聞けば、RSのサスペンションには、専用チューンとなるメカニカルダンパーを除いて、タイプRのパーツが多く流用されているという。つまりこれは、気軽に乗れる『ニア・タイプR』なのだ。

ただ、静粛性を重視した結果、エンジンサウンドが車内では小さめに感じたのと、シートも全車共通なので、もう少しRSはホールド性があってもいいように思えた。いずれも欲を言えばというレベルだが、今後、特別仕様車やパッケージオプションで、よりスポーツカーらしい演出や機能を高めたものがでてくることを期待したい。

取材車のガソリンモデル、EX(左)とRS(右)。もちろんハイブリッドもラインナップする。
取材車のガソリンモデル、EX(左)とRS(右)。もちろんハイブリッドもラインナップする。    佐藤亮太

よりオールマイティな存在となるガソリンターボのCVT車『EX』にも乗ったが、こちらは刺激こそ薄めだが、現行型が掲げた爽快な走りの味をより強く感じた。しっかりと路面の変化を感じさせながらも、不快な衝撃とは無縁で、腰のあるシートが体を優しく包んでくれる感覚だ。

そして1.5Lターボエンジンも、自然吸気のような滑らかな振る舞いを見せてくれた。クルマと過ごす時間が好きな人には、むしろこちらの方がおススメできる。まさに爽快シビックを象徴するモデルといえよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事