【感涙レベルの完成度】 もっとやれ! 新型V12『レヴエルト』はランボルギーニらしさ全開!

公開 : 2024.10.19 11:45

今や7000万円級のスーパースポーツカー

ところがレヴエルトはV12エンジンがもたらす非日常と、ガヤルドウラカンで感じた日常が同居しているように感じる。ドライバーが右足に力をこめなければ、室内空間は”比較的”穏やかだ。装備も充実し、日本語で案内するナビゲーションなんてかつては想像できなかったが、今や7000万円級(正確には6543万円)のスーパースポーツカーで、そういった最低限の快適装備は不可欠なのだろう。

そう、7000万円なのだ。もはやこれは、以前にも増して、気軽に取材できるクルマでなくなってしまった。そしてその高価さは、ランボルギーニが真のハイブランドとして勝負していることを示しているように思う。

どうせなら、誰も追いつけないところまでぶっ飛んでしまえばいい。
どうせなら、誰も追いつけないところまでぶっ飛んでしまえばいい。    田中秀宣

2007年に100万ユーロカーとして、ムルシエラゴをベースにオリジナルのボディを採用したレヴェントンを20台限定で発売したとき、それはあまりに高価すぎるという声もあった。しかし、そういった自社のスーパースポーツに新たな価値を与えることは、各ブランドが追従し、今や数量限定車は珍しくなくなった。

つまりランボルギーニは、スーパースポーツのハイブランド化という方向性にいち早く気が付き、ずっと勝負し続けてきたのだ。

だからこその、カウンタック以来の伝統となるシザードアであり、エッジの効いた男性的なスタイリングであり、1000psという”使わない贅沢”と言える途方もないハイパワーなのだ。

アヴェンタドールまではあくまでカウンタックの延長にあり、かつて少年たちが熱狂した”スーパーカー”だった。しかしレヴエルトは、例えばエルメスやヴェルサーチのような、少年は敷居を跨ぐことすらできない、真のハイブランドが送り出す”スーパースポーツカー”として、手の届かぬ遠くの位置に行ってしまった。

そう書くと嘆きに聞こえるが、実車を見ていて思ったのは、”もっとやれ!”であった。どうせなら、誰も追いつけないところまでぶっ飛んでしまえばいい。それが、カウンタックのプロトタイプを見て「クンタッチ!」と叫ばれた、あの時代から変わらぬランボルギーニらしさ、だと思うから。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    田中秀宣

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。

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