ルノーがレトロな「2ドア・クーペ」一般公開 1970年代の “マイナー” 車、復活は見送り

公開 : 2024.10.18 06:05

ルノーは新型のEVコンセプト「R17エレクトリック・レストモッド」をフランスで一般公開した。1970年代のルノー17にインスパイアされた2ドア・クーペだが、残念ながら市販化の予定はない。

洗練されたクーペ 残念ながら市販化せず

ルノーは10月14日、フランスで開幕した『パリ・モーターショー2024』で新型のEVコンセプト「R17エレクトリック・レストモッド」を一般公開した。現時点では市販化の予定はない。

1970年代に生産されていたルノー17を現代的に再解釈したもので、フランスのデザイナー、オラ・イト(Ora Ito)氏とのコラボレーションによる作品だ。洗練された外観をまとい、カーボンファイバー製シャシーに最高出力270psの電気モーターを搭載している。

パリ・モーターショーで公開されたルノー17エレクトリック・レストモッド
パリ・モーターショーで公開されたルノー17エレクトリック・レストモッド

ルノー・グループのデザイン責任者であるローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏は、R17エレクトリック・レストモッドの市販化の可能性を否定し、「注目を集める」ために設計された「ブランドキッカー」だと説明した。

同氏は記者団に対し、「ある意味、皆様方に向けたものではありません。『ヴォーグ』誌を買ったり、『モノクル』誌を読んだりする人たちのためのものです」と語った。

また、ルノー17の復刻を求める声に対して、ルノーの歴史的なモデルのすべてがポピュラーな(そして商業的な)魅力を持っているわけではないと示唆した。

最近復活した4(キャトル)、5(サンク)、トゥインゴに比べて、17は短命に終わり、知名度も高くない。

「過去のことに関する記憶は、選択的なものです。今、我々はこれらのクルマを見て、『どんなに素晴らしかったか』と言いますが、正直なところ、完璧なクルマではありませんでした」

ヴァン・デン・アッカー氏は、セダンのサフランのようなモデルが復活する可能性は極めて低いと示唆した。そして、2000年代の2ドア・ミニバン、アヴァンタイムのように「本当に深く愛していた人たちがいた」としても、復活することはないだろう。

また、近年生産終了となったモデルの復活を望む声もあるが、あらゆる選択肢を検討するわけではない。

「『なぜモデュスを作らないのか』と聞かれることがあります。モデュスなら、まだ手に入ります。中古を買ってください」

歴史的なモデルを復活させるのは難しいプロセスであり、商業的に成功させるためには、愛好家に訴えるだけでなく普遍的な魅力を持たせなければならないと同氏は説明する。

「正しいか間違っているかという意味では、難しいクルマです。的を射るか、外すかのどちらかです」

ルノー4やルノー5を考えたときに頭に浮かぶような、集合的な記憶の中にあるものを捉える必要があります。難しい仕事ですが、皮肉なことに、そして意外なことに、当社が市場調査したとき、人々は5を見て、未来的だと言ったのです」

ルノーが4、5、トゥインゴで目指しているのは、オリジナルモデルを覚えておらず、車名にあまり意味がない顧客層にもアピールすることだ。

ヴァン・デン・アッカー氏は5について、「オリジナルを正確に知らなくても、好きになれます。その走り、大きなホイール……。正直言って、これはコンセプトカーを現実にしたようなものです。このクルマを覚えている人には、好きになってもらえるようなものをすべて用意しました。そして、そうでない人にとってはただ素敵なクルマとなっています」と語った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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