欧州最大級の自動車見本市『パリ・モーターショー2024』振り返り 日本未導入の次世代モデルも多数

公開 : 2024.10.18 18:05

10月14日にフランスで開幕した『パリ・モーターショー2024』の規模感や概要、展示メーカーなどを振り返る。洗練されたデザインの高性能車から、水素の可能性を探るコンセプトカーまで、印象的なモデルを紹介する。

賑わいを見せた2年に一度のパリ・ショー

本来の姿に戻ったと言える。『パリ・モーターショー2024』は、大げさに見せようとしたり、欠席したブランドについて謝罪したりすることもなく、むしろ参加したブランドを受け入れ、適切な場所にフィットさせることで、ありのままの姿を見せているように感じられた。

モーターショーが衰退しているという話もあるが、直感に反する。そのようなことを言われれば言われるほど、生き残る可能性は低くなり、最新のクルマやそれを作った人たちと集まる機会も減っていく。

パリ・モーターショー2024には欧州、中国、日本から数多くの自動車メーカー、部品メーカーが参加した。
パリ・モーターショー2024には欧州、中国、日本から数多くの自動車メーカー、部品メーカーが参加した。

それにしても、前回の2022年のパリ・ショーは、モーターショーというコンセプト全体を崩壊させてしまいかねないほど小さく、申し訳なさそうに感じられた。この時の最大のニュースは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が会場に姿を現したことだった。

2024年はありがたいことに、現在パリと交互に開催されているミュンヘン・モーターショー2023の賑やかな雰囲気を引き継ぎ、はるかに高揚感のあるものとなった。テスラも姿を見せた。マクロン大統領もまた参加したが、今回は自分が訪れたいブースを頻繁に閉鎖して、皆の邪魔をしているようだった。

2022年のパリと2024年のジュネーブで独壇場のように目立っていたルノー・グループは、ルノー、ダチアアルピーヌの重要なお披露目を携え、今回も自身の庭で大きな成功を収めた。

ルノー4は、5に続くレトロな次世代EVとして登場し、アルピーヌはA390でついにクロスオーバー車に挑戦する。そしてダチアはビッグスターで欧州Cセグメント市場を制覇しようとしている。

しかし、今回ばかりはルノーだけが主役ではない。ステランティス傘下のプジョーシトロエンアルファ・ロメオも大きな存在感を示していたが、最も注目を集めたのは新ブランドのリープモーターだった。低価格EVを量産する中国企業に勝てないのなら、買ってしまえばいいという考えだ。

ステランティスの巧みな戦略であり、退任するカルロス・タバレスCEOはショーでの挨拶で、いつもより少し肩の力が抜けたように見えた。2年前には存亡の危機のように感じられたステランティスにとっての中国の「脅威」は、革新的な方法で解決されたのだ。

フォルクスワーゲン・グループのアウディスコダ、フォルクスワーゲンは、本社ではなくフランスの現地法人による運営とはいえ、すべてブースを構えていた。金を払っている観客はそのようなことは気にしないだろう。最新モデルがすべて揃っていたのだから。

BMWグループのミニも、ジョン・クーパー・ワークス(JCW)のニューモデルを展示した。

中国の自動車メーカーも数社参加した。BYDは輸出において最も有名で信頼性が高いブランドであり、ショーではSUVのシーラオン7を発表した。この日、一般公開前にBYDのブースを訪れた最初の人物はタバレス氏だった。BYDは依然として既存の自動車メーカーの興味関心を集め続けている。

Aito、GAC、Skywellなども参加していたが、まだ知名度や特徴がないため、それほど目立つものではなかった。

テスラの “スタンド” は、残念ながら「良かった」と言えるものではなく、無造作にクルマが近接して置かれており、下にカーペットが敷かれているわけでもなかった。

少なくともテスラは出展していた。このような活気あるショーになれば、今後もっと多くの自動車メーカーが出展するようになるだろう。欧州では年に1回がちょうどいい感じだ。

原文:マーク・ティショー(英国編集部記者)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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