カーボン製ボディにフォードの5.0L V8 ACコブラが現代技術で復活! 663psの試作車へ試乗

公開 : 2024.10.30 19:05  更新 : 2024.11.18 07:27

1960年代を象徴するACコブラが、現代技術で復活 カーボン製ボディにフォードのV8エンジン スーチャー付きで663ps 自然吸気は460ps 極めて魅力的な運転体験 英編集部が試作車へ試乗

カーボン製ボディにフォードのV8エンジン

英国のACカーズは、実際は廃業していたわけではない。だが、新たに資金を獲得したことで、再興を果たそうとしている。今回ご紹介するクラシックな見た目のロードスターは、まったく新しいコブラ GTなのだ。

見た目は、1960年代のコブラとそっくりかもしれない。それでも、クラシカルなスタイリングは素晴らしい。フィアットが復活させた500や、BMW傘下になって生き返ったミニほどではないが、しっかりモダンでもある。

ACコブラ GTロードスター(欧州仕様)
ACコブラ GTロードスター(欧州仕様)

絶えることなく、アップデートが繰り返されてきたようにも見える。コブラのレプリカを提供するメーカーは複数あるが、それらと混同されることもないだろう。ちなみに、北米ではコブラの名称を利用できず、GTロードスターだけを名乗る。

抑揚のあるボディは、AC傘下にある英国サセックス州の企業が製造する、カーボンファイバー製。シャシーは、押出成形されたアルミニウムを主材としている。

ボディサイズは、ひと回り大きい。コブラの原型となった、1950年代のACエースの頃より、大きくなったドライバーの体格へ対応するために。それでも、現代の基準では小柄。全幅は1980mmあるものの、全長は4230mmで、ホイールベースは2570mmだ。

ご期待通り、フロントに載るのはフォード由来のV型8気筒エンジン。5.0Lで、自然吸気とスーパーチャージャー付きを選択できる。トランスミッションは、トレメク社製の6速マニュアルか10速オートマチックが用意される。もちろん、後輪駆動だ。

スーチャー付きで663ps 自然吸気は460ps

最高出力は、試乗車のスーパーチャージャー付きの場合663ps。最大トルクは79.3kg-mを発揮する。自然吸気でも、460psと57.9kg-mが得られる。リアアクスルには、前者にはトルセン式リミテッドスリップ・デフが、後者には通常の機械式デフが組まれる。

サスペンションは、前後ともにダブルウイッシュボーン式。フロント側はプッシュロッドを介してダンパーが動く。タイヤサイズは前が275/35 R21、後ろが325/30 R21。控えめな19インチも選択可能だ。

ACコブラ GTロードスター(欧州仕様)
ACコブラ GTロードスター(欧州仕様)

今回試乗したクルマは、英国では唯一となるプロトタイプ。というのは、開発の殆どはドイツで進められているから。この記事が公開される頃には、ドーバー海峡を渡りドイツへ戻される予定だという。

新しいコブラ GTロードスターは、英国で少量生産車として型式認証を得ており、基本的に各国で販売可能。納車開始は、2025年後半からが予定されている。

やり残した課題は沢山あると、ACの担当者は話す。確かに、プロトタイプということで、ブレーキのサーボやABS、アンチロールバーはまだ備わっていなかった。とはいえ、もっと完成度の低い量産車もあると筆者は思う。

記事に関わった人々

  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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