【ミドシップ&電動化に異議あり?】 E-Rayは8代目コルベットの大本命となり得るか

公開 : 2024.10.21 11:45

進化と伝統が混ざり合ったE-Rayこそ本筋?

0-100km加速がブガッティ・シロンよりコンマ1秒遅いだけと聞くと尻込みしてしまう。だがそんな加速性能を電子制御可変のアシ、マグネッティック・セレクティブ・ライドコントロールが見事に抑え込んでいる。スタビリティが理解できると、ハイパワーのミドシップ車だからと構えることなく、スロットルを踏み倒せるようになってくる。

そう、E-Rayは機構的には以前よりはるかに複雑でパワフルだが、絶えず乗り手をリラックスさせ楽しませてくれるという点では、歴代コルベットの延長線上にあるといっていい。そんなスタビリティの源泉になっている電動化は、FRレイアウトでは実現が難しかったはず。そう考えるとE-Rayは派生ではなく8代目の本筋なのかもしれないと思えてきた。

残念なのはEV走行のモードが始動前にしか選択できないことだが、そのあたりの割り切りは潔い。
残念なのはEV走行のモードが始動前にしか選択できないことだが、そのあたりの割り切りは潔い。    神村聖

実用の部分ではボディ前後のラゲッジスペースが広大というのもコルベットらしい部分だし、大きなサイドミラーのおかげで斜め後方の視界が良いのもうれしい驚きだった。

残念なのはEV走行のモードが始動前にしか選択できないことと、レーンキープ等の車線維持支援システムが付いているにもかかわらず、クルーズコントロールがアダプティブではないという点だった。

だがそれよりも重要な事実は、今回E-Rayをドライブしたことで、時代が求める要件を取り込みつつ、しかし歴代モデルの延長線上にあるという、コルベットの最新の立ち位置が確認できたことなのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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