ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!

公開 : 2024.11.04 19:05

モードを問わず洗練性は高い 乗り心地は良好

確認を終えて、スタートボタンを押してみよう。エコ・モードは出力が80psへ絞られ、1545kgあるジュニア・エレットリカが重く感じられる。カタログ値の402kmの航続距離を狙うような場面でない限り、選びたいとは思わないかも。

ナチュラル・モードは、110psへ上昇。ダイナミック・モードにすると、156psが開放されるのと同時に、アクセルペダルの反応も鋭くなる。パワーデリバリーはしっかり調整され、速度管理は容易。110km/hを超えるまで、加速が鈍くなる様子もない。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)

ただし、ダイナミック・モードでも動力性能は活発だと感じる程度で、ボルボEX30の鋭敏な加速力には及ばない。恐らく、普段使いでも筆者はこの設定を選ぶだろう。

モードに関わらず、洗練性は非常に高い。風切り音や転がり音はしっかり抑えられ、車内は静かだ。ダンパーの伸縮音もほぼ聞こえない。

サスペンションはしなやかに動き、乗り心地は良好。舗装が隆起した部分や、剥がれた穴を通過すると、小さな振動が伝わるものの、快適性は高い。ヴェローチェより小径なホイールも、プラスに働いているはず。

小さめのサイズと良く利く小回りで、市街地での扱いやすさは優秀。郊外のカーブが連続する区間へ飛び込めば、アルファ・ロメオがブランドの個性を注入したという主張を実感できる。

ライバル以上のダイナミックさ HVも登場予定

ステアリングは適度にクイックで、反応は正確。重量配分も悪くないようで、シャープに回頭していく。4本のタイヤはしっかり路面を掴み、安定性も高い。

同じe-CMPをベースとするSUVとしては、姿勢制御もタイト。ヘアピンカーブを攻め込んでも、ボディの動きは巧みに制御され、出口でアクセルペダルを踏むと滑らかな加速を披露してくれた。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)

唯一、惜しいと感じたのがブレーキ。踏み始めの反応が弱く、効きも漸進的とはいえないようだった。

本当のアルファ・ロメオの輝きがあるかと聞かれると、イエスとは答えにくい。だが、マイルドなスペチアーレでも、ライバル以上のダイナミックさを獲得している。腕利きのアルフィスタを夢中にはさせないかもしれないが、充分な落ち着きと精度は備わる。

何より、好適なタイミングで好適なモデルが投入されるということに、大きな意味がある。競争力の高い価格設定も与えられるようだ。同社の期待通りの販売を、稼げそうに思える。

ちなみに、2025年にはマイルド・ハイブリッドのジュニアも登場予定。欧州ではバッテリーEVの販売に陰りが出ているが、それも補完できるはず。

◯:バランスに優れ、個性を感じられる動的特性 従来の同社のハッチバックにも似ている 複数から選べるパワートレイン 
△:ホットなヴェローチェは高価で航続距離が短くなる ステランティス・グループ内に似た内容のモデルが複数ある

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万5695ポンド(約685万円)
全長:4173mm
全幅:1781mm
全高:1535mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:402km
電費:6.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1545kg
パワートレイン:他励同期モーター
駆動用バッテリー:50.8kWh
急速充電能力:100kW
最高出力:156ps
最大トルク:26.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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