M440i以上・M4以下 メルセデスAMG CLE 53 カブリオレへ試乗 ルックスとパフォーマンスの好バランス

公開 : 2024.11.12 19:05

動力性能に不満なし かなり快適な乗り心地

確認はこの程度にしよう。テールパイプが4本並ぶが、停まっている時のCLE 53は静か。マイルド・ハイブリッドだから、積極的にアイドリングストップする。

動力性能には、まったく不満なし。直6ターボエンジンが目覚めると、スムーズでシンフォニックなサウンドを楽しめる。スポーティなドライブモードを選ぶと、シフトアップ時に人工的な音も重なるが。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ(欧州仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ(欧州仕様)

トルクコンバーター式だから、デュアルクラッチATのように鋭くギアが切り替わるわけではないが、9速ATの仕事は滑らか。レッドラインの手前1000rpm程度まで回すと、ソフトリミッターがかかりつつ、ゆっくりシフトアップされる。

乗り心地は、かなり快適。低速走行時に硬さを感じる場面はあるが、普段使いにまったく問題ないはず。ロードノイズが響くものの、BMW M4より遮音性は高い。

ステアリングは、通常のCLEより手応えがありレスポンシブ。可変ステアリング・システムに後輪操舵が加わり、クイックなコーナリングを披露する。ロックトゥロックは2回転もないが、神経質な感じはない。

手のひらへの情報量は小さい。幅が265あるフロントタイヤを信じることになるが、基本的にグリップ力は高い。

M440i以上・M4以下といえる、CLE 53

カーブが連続する区間では、スポーツ・モードへ切り替えたい。CLE 53が機敏に変化し、正確なステアリングと確かなグリップを活かしつつ、狙ったラインを流れるように縫っていける。

四輪駆動システムの自由度はそこまで高くないが、カーブの出口でアクセルペダルを蹴飛ばすと、リアタイヤが悶える。メルセデスAMG C 63ほどダンパーは硬くなく、基本的には安定志向にある。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ(欧州仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ(欧州仕様)

これは、カブリオレでも通じる。クーペより重い、2035kgの車重は感じさせるものの、オープン時に直接鑑賞できるエグゾーストノートで穴埋めできる。

燃費は、穏やかに高速道路を流せば、10.5km/L以上を得られるはず。もちろん、運転の仕方次第で大きく変化する。

CLE 53 ナイトエディション・プレミアムプラスの英国価格は、7万8825ポンド(約1529万円)。同等のオプションを載せたBMW M440iと、ほぼ同じといっていい。

印象的なスタイリングに、余裕の動力性能を備え、乗り心地は快適なCLE 53。しっかりAMGらしさも感じられる。直列6気筒エンジンを載せた、通常のCLE 450よりスポーティでもある。例えるなら、M440i以上・M4以下といえる。

CLE 63は、さらに高性能なクーペになることは間違いないが、ルックスとパフォーマンスのバランスが好ましい。モデル名の数字と排気量の関係は消えても、理にかなったラインナップの1つといえる。

◯:スムーズな直6エンジンの動力性能とフィーリング スタイリングもインテリアも印象的 日常的なの乗りやすさのバランス
△:2ドアクーペの割に重い 潜在能力を完全に引き出すにはプロパフォーマンス・パッケージが必要

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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