【第0回】長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:永遠のアマチュアイズム

公開 : 2024.10.23 17:05  更新 : 2024.10.23 18:44

この度ひょんなご縁に恵まれ、本コラムを担当させていただくことになったナガオでございます。今後は毎月第4水曜日に記事配信ということになりますが、今回は初回ということですから、まずは簡単な自己紹介など。

まだ"カンパチ"が未開通の頃の話

1962年寅年の生まれ。出版社に勤務していた時代は長らくクルマの模型専門誌と趣味の自動車専門誌の編集に携わってきました。定年退職後は気ままなフリー家業となりまして、こちらのコラムではさまざまなクルマのミニチュア、モデルカーの話題を掘り下げていければと存じます。

さて、わたくしが住んでいるのは昔も今もずっと環状8号線のちょっと外側、23区の外れですが、そもそも私が小学生の頃は”カンパチ”は未開通でしたね。近所にはまだ養鶏場があり山羊や牛などもいる、のどかな郊外。そう言えば下宿屋を営んでいた祖母も鶏を飼っていたっけ。

昭和30年代、自家用車は少数派で、近所は商用車ばかり。
昭和30年代、自家用車は少数派で、近所は商用車ばかり。    長尾循

そんな時代と環境ですから、自家用車を所有するご家庭などはまだまだ少数派。駅前のお医者さんがボルボ・アマゾン、近所のお医者さんはVWビートル、そしてお隣の地主さんが日野コンテッサ。身近な乗用車といえばそんなもんで、あとは八百屋のナオさんの二代目トヨエース初期型とかいすゞBXDの小田急バスとか、商用車ばかり。

同じ昭和30年代でもこれがもっと都心の商業地域だったり、逆に機械化が進みつつあった農村部であれば、かえってクルマの普及は早かったのかもしれませんが、まぁ電車の駅もバス停も自宅からは徒歩圏内でしたので、自家用車がなくても特に困らない。わたしの自宅界隈は、あるいは都内で最もモータリゼーションが遅れていたエリアだったのかも。

モデルカーを介してインプットされた興味と知識

と、そんな時代、場所での幼少期でしたので、”本物のクルマ”はいつも珍しい憧れの存在でした。だから昔からオトナに買ってもらう、そして自分で買うオモチャも本も、クルマにまつわるモノが多かった。

自分ではまだうまく組み立てられずに親に作ってもらったプラモデル『ヤマダのびっくり分解自動車シリーズ』とか、お誕生日やクリスマスにしか買ってもらえなかったコーギーやディンキーの高価なミニカーとか、自分のクルマに対する興味と知識はほとんどがモデルカーを介してインプットされたモノ。

「永遠のアマチュア」としての視点で古今東西のモデルカーを語っていこうというのが、本コラム。
「永遠のアマチュア」としての視点で古今東西のモデルカーを語っていこうというのが、本コラム。    長尾循

クルマ好きの少年はやがて年齢を重ねるごとに趣味が深化し、収集がメインのミニカー・コレクターになったり、クルマのプラモデルを作るカー・モデラーになったり、あるいはミニチュアを”卒業”して実車との付き合いがメインとなっていったりするものですが、さて自分の場合は一体。

実はわたくし、この歳になっても幼少期の気持ちのままあまり成長していないので、いまだに実車もミニカーもプラモもノンジャンルで好き。「世界的なミニカー・コレクターになった」とか「趣味が嵩じてプロの模型制作作家になった」とか「ホンモノのレーサー、メカニックになった」というような、趣味を突き詰めていった結果プロフェッショナルになったような方々から見れば、まぁ単なるクルマ好きなアマチュアなわけです。

そんな「永遠のアマチュア」としての視点で古今東西のモデルカーを語っていこうというのが、本コラム。次回からは1台のモデルカー、あるいはひとつのテーマにフォーカスして、素晴らしきモデルカーの魅力を語っていければと存じます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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