ちょっとマイナーな「珍車」ばかり! VWの博物館がすごかった 秘密のコレクション 18選

公開 : 2024.11.16 18:05  更新 : 2024.11.16 22:16

1984年 ポロのエンジンを搭載したビートル

排出ガス規制により、いずれは空冷式の水平対向4気筒エンジンを搭載したビートルも廃止されると思われていたが、まさか2003年まで生き残るとは誰も予想していなかった。水冷式ビートルの開発は1970年代に開始され、1984年にポロのエンジンを搭載したモデルが試作された。

メキシコ製のビートルをベースに、最高出力45psの1.0L 4気筒エンジンを縦置きに搭載。ラジエーターを車体下部に設置し、分厚いスキッドプレートで保護するなど、通常とは異なるパッケージングを採用した。 ポロのエンジンは後にバスにも搭載されたが、ビートルは生産終了までフラット4エンジンを使い続けた。

1984年 ポロのエンジンを搭載したビートル
1984年 ポロのエンジンを搭載したビートル

1984年 IRVW III

1984年に製作された、第2世代のジェッタをベースとするプロトタイプ。新技術の実験台として使用されたものだ。車高が低いことを除けば、ほぼ標準仕様のように見えるが、最高出力180psを発揮するターボチャージャー付き1.8L 4気筒ディーゼルエンジンが搭載されている。

ちなみに、通常のジェッタに搭載された最もパワフルなターボディーゼルエンジンの最高出力は約80psである。これに100psのパワーが追加されたことで、アウトバーンでは最高速度200km/hでの巡航が可能となった。

1984年 IRVW III
1984年 IRVW III

1987年 T3マグナ

フォルクスワーゲンは1987年、伝統あるT3の内外装を変更した場合、顧客がどのような反応を示すかを測るために、マグナというプロトタイプを発表した。特徴的なグリルに組み込まれたドライビングライト、丸みを帯びたフェンダー、ツートンカラーの塗装など、さまざまな変更が施されている。ウィンチやフロントブルバーなどのオフロード用装備も追加され、人々の注目を集めた。エンジンは最高出力110psの2.1L 4気筒である。

こうした変更は、市販モデルには採用されなかった。メインのターゲット層にあまり受け入れられなかったか、あるいはフォルクスワーゲンが、欧州および北米でライフサイクル終盤に差し掛かっていたT3に対してこれ以上の費用を投じないことを決めたためだ。

1987年 T3マグナ
1987年 T3マグナ

1990年 ビアジーニ・パッソ

フォルクスワーゲンをベースにしたクルマであれば、この博物館のコレクションにふさわしい。イタリアで生産されたビアジーニ・パッソ(Biagini Passo)は、コレクションに最近加わった1台である。初代ゴルフ・カブリオレに、新しいボディキット、フィアット・パンダのヘッドライト、ゴルフ・カントリーのシンクロ四輪駆動システムを搭載。その結果、オープントップSUVの先駆けのような外観となった。

ビアジーニ・パッソは1990年から1993年にかけて65台が生産された。その大半はイタリア市場で販売されたが、少数はドイツでも販売された。現存する車両はかなり希少だ。

1990年 ビアジーニ・パッソ
1990年 ビアジーニ・パッソ

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事