BMW M3を「軽く凌駕」 メルセデス・ベンツC 63 AMG(W204) UK中古車ガイド 魅力は衰えない

公開 : 2024.11.07 19:05

AMGの復権といえた、W204のC 63 クーペだけでなくサルーンとステーションワゴンも 当時のBMW M3を軽く凌駕したパワー 操縦性に優れたオールラウンダー 英編集部が魅力を再確認

当時のBMW M3を軽く凌駕したパワー

2000年代後半にアウディとBMW、メルセデス・ベンツのドイツ御三家は、スーパーカー級の走行性能と日常的な実用性を、サルーンで叶えてみせた。その極めつきといえたのが、今回振り返るW204のC 63 AMGだろう。

ドイツ・アファルターバッハの技術者は、BMW M3と大きく差が開いていたCクラスの現状を打開しようと考えた。徹底的に。

メルセデス・ベンツC 63 AMG ステーションワゴン(S204/2008〜2015年/英国仕様)
メルセデス・ベンツC 63 AMG ステーションワゴン(S204/2008〜2015年/英国仕様)

W204型C 63 AMGの発売は、2008年。大きくはないボンネットの内側には、6.2L V型8気筒エンジンが押し込まれていた。自然吸気で457psと58.3kg-mを発揮し、0-100km/h加速は4.5秒。マッスルカー的な図太いサウンドを、豪快に放った。

果たして、C 63 AMGは当時のBMW M3を軽く凌駕。何しろ、約40psと約20kg-mも上回っていたのだ。

ところが、AMGはさらに上を用意していた。オプションのパフォーマンスパック・プラスを指定すると、最高出力は486psへ上昇。当時の997型ポルシェ911 カレラやシボレーコルベット C6を上回るパワーを叶えていた。

アグレッシブなスタイリングも、しっかりAMGしていた。サルーン(W204)にクーペ(C204)、ステーションワゴン(S204)と、3種類から選択できたことも強みだ。

普段使いの実用性では、同時期のアウディRS4アバントより、C 63 AMG ステーションワゴンの方が優秀。荷室の容量は、前者が460Lだったのに対し、後者は495Lと広かったのだから。

操縦性に優れたオールラウンダー

AUTOCARでは、2007年に初試乗。パワートレインの素晴らしさだけでなく、動的能力の優秀ぶりにも舌を巻いている。操縦性に優れ、M3以上のオールラウンダーだと表現したほど。

インテリアの高級感も高く、穏やかに運転していても特別感を伴う。ただし、特に市街地では乗り心地が硬い。AMGサスペンション・パッケージと19インチ・ホイールを組むと、その傾向は一層強まった。

メルセデス・ベンツC 63 AMG ステーションワゴン(S204/2008〜2015年/英国仕様)
メルセデス・ベンツC 63 AMG ステーションワゴン(S204/2008〜2015年/英国仕様)

燃費は考えない方が良いかも。多くのオーナーが、6.0km/L前後なことを認めている。もしV8エンジンを思い切り回せば、その半分近くヘ悪化するはず。

特別仕様は複数あるが、AUTOCARで取り上げたいのは、英国ブルックランズに拠点を置くメルセデス・ベンツのスペシャル・プロダクツ部門で作られた、DR520だろう。最高出力は520psまで強化され、英国での販売数は20台のみだ。

W204型は2011年にマイナーチェンジを受け、7速マルチクラッチATとアルミ製ボンネットを獲得。インフォテインメント・システムも更新された。

モデル末期には、スーパーカーのメルセデス・ベンツ SLS AMGの影響を受けた、C 63 ブラックシリーズが登場。0-100km/h加速を4.2秒へ短縮している。

ボディスタイルを問わず、W204型C 63 AMGの魅力は衰えていない。今の中古車市場で検討できる、万能選手的な最高の高性能モデルの1台だといっていい。英国では、嬉しいことに1万5000ポンド(約291万円)程度から探せてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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