【Gクラスもついに完全電動化】 メルセデス伝統のオフローダーにEVとして新たな可能性を見た!

公開 : 2024.10.24 07:05  更新 : 2024.10.24 07:22

メルセデス・ベンツ伝統のオフローダー(クロカン)モデル『Gクラス』に、シリーズ初となるEV、『G580 with EQテクノロジー』が登場しました。果たしてEVになってもGクラスらしさは維持されるのでしょうか? 大音安弘が解説します。

Gクラス初の完全電動化へのチャレンジ

メルセデス・ベンツ日本は2024年10月23日、『Gクラス』初となるEV、『G580 with EQテクノロジー』の日本初披露を行った。

導入モデルは、特別仕様車となる『G580 with EQテクノロジー・エディション1』で、同日より受注を開始した。価格は2635万円で、左右のステアリングが選択可能。日本での納車開始は、2024年11月からを予定する。

Gクラス初となる完全電動化モデルが登場。『G580 with EQテクノロジー・エディション1』として日本発売開始。
Gクラス初となる完全電動化モデルが登場。『G580 with EQテクノロジー・エディション1』として日本発売開始。    平井大介

Gクラスは1979年に誕生後、メルセデス・ベンツの代名詞のひとつとして、多くのファンに愛されてきたオフローダー(クロカン)だ。登場時はシンプルかつ堅牢なオフローダーであったが、時代のニーズを汲み取りながらオフロード性能はもちろんのこと、オンロード性能面でも大きな進化を図ってきた。

2018年には歴史上で最も大幅な改良が加えられ、特に快適性やオンロード性能が飛躍的に高められた。その一方で、タフさを象徴する武骨なスタイリングや高い悪路走破性を支えるラダーフレーム構造は、変わらない価値として受け継がれてきた。その最新型をベースに、オフローダーの完全電動化という難題に挑んだのが、『G580 with EQテクノロジー』なのである。

発表会に登壇したメルセデス・ベンツ日本のゲルティンガー剛社長兼CEOは、「試乗してみると、ノイズや振動が抑えられており、とても快適です。日常性能とオフロード性能を両立し、電気自動車の新しい可能性を感じることが出来ました」と、EV化がGクラスの本質を守りつつも、更なる快適性の向上に繋がっていることを強調した。

EVオフローダーとして妥協なき開発の姿勢

EVでもエクステリアはほぼ共通。専用のディテールとしては、段付きのボンネットやリアフェンダーのエアカーテン、テールゲートに装着された収納ボックスなどが挙げられる。

ボディサイズは全長4730×全幅1985×全高1990mm。全長こそ僅かな差があるが、ホイールベースについては、エンジン車と共通の2890mmだ。これがビジュアル的なGクラスらしさが失われていないことを示す、ひとつの証拠ともいえるだろう。

EV仕様Gクラスにおける最大の特徴は、新機構となる4輪独立式モーターに象徴される電動パワートレインだ。
EV仕様Gクラスにおける最大の特徴は、新機構となる4輪独立式モーターに象徴される電動パワートレインだ。    上野和秀

EV仕様Gクラスにおける最大の特徴は、新機構となる4輪独立式モーターに象徴される電動パワートレインだ。専用仕様となるラダーフレームの前後アクスルには、車輪ごとに最高出力108kWのモーターを搭載。システム性能は、最高出力435kW(587ps)、最大トルク1164Nm(1183.8kg-m)を発揮する。この性能は、スポーティなメルセデスAMG G63に搭載される、4.0LV8ターボエンジン単体の性能を上回るものだ。

悪路走破性を確保するため、モーターには2段式ギアによるローレンジを設けたほか、4輪独立制御の強みを活かし、最大2回転までその場で旋回可能な『Gターン』などの専用機能も追加する。驚くべきは、最大渡河水深が、ディーゼル仕様のG450dの700mmを上回る850mmを確保していることだ。この事実から、EVオフローダーとして妥協なき開発の姿勢が伺える。

116kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離はWLTCモードで530kmを確保。充電システムは200V普通充電と最大150kW出力(CHAdeMO規格)の急速充電に対応する。150kW出力の場合、電池残量を10%から80%まで回復させるのに必要な時間は41分だ。もちろん、床下に収められる駆動用バッテリーは、強固なアンダープロテクションで守られており、悪路走行時に障害物が床面に強い衝撃を与えても問題ないとしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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