スーパーフォーミュラ観戦記 人気のベテラン選手が奮闘 秋のサーキットはレース以外のイベントも充実

公開 : 2024.10.24 11:55  更新 : 2024.10.24 11:56

10月12日、富士スピードウェイで行われたスーパーフォーミュラ第6戦は、秋のうららかな日差しのもと、熱戦が繰り広げられました。AUTOCAR JAPANが注目した小林可夢偉選手は、みごと期待に応えてくれました。

エキサイティングでサステイナブルな国内トップフォーミュラ

10月12・13日、富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ選手権の2024年第6戦・第7戦が行われた。週末ダブルヘッダーとなったこのレース、AUTOCAR JAPANは土曜日の第6戦を観戦した。

モータースポーツになじみのない方々のために説明すると、スーパーフォーミュラは、オープンホイールのフォーミュラカーによって争われるレースのうち、全日本F2000から全日本F3000、フォーミュラ・日本の系譜に連なる国内トップカテゴリー。実質的にアジアのトップフォーミュラとも見なされているハイレベルなレースで、グローバルなトップフォーミュラへも多くのドライバーを輩出している。

可能な限り脱炭素化を図った素材の採用や、燃料消費を抑えつつ高いエンジン性能を目指すなど、将来的なモータースポーツの持続可能性を積極的に追求しているのも、スーパーフォーミュラの特徴だ。
可能な限り脱炭素化を図った素材の採用や、燃料消費を抑えつつ高いエンジン性能を目指すなど、将来的なモータースポーツの持続可能性を積極的に追求しているのも、スーパーフォーミュラの特徴だ。    関耕一郎

マシンはダラーラ製シャシーのSF23を使用。カーボンと同等の剛性や重量を実現しつつ、原材料や製造過程のCO2排出量を約75%低減したバイオコンポジット素材が採用されている。横浜ゴム製のタイヤも、天然由来の配合材やリサイクル素材などを活用したカーボンニュートラル対応レーシングタイヤだ。

エンジンはトヨタホンダが手掛ける2.0L直4直噴ターボで、スーパーGTのGT500との共用を想定して開発されたNREことニッポンレースエンジンと呼ばれるもの。約550psを発揮するとされるが、2014年の導入時から段階的に燃料流量を絞りつつ性能を確保するべく改良が重ねられ、マシン全体でサステイナブルなモータースポーツの実現を追求している。

人気のベテランが久々の表彰台に!

今回、AUTOCAR JAPANが注目したのは小林可夢偉選手。かつてはトヨタやザウバー、ケータハムでF1を走ったが、2012年に鈴鹿サーキットで開催された日本GPで3位表彰台を獲得したことは、今も多くのレースファンの記憶に刻まれているだろう。また、2013年にはアジア人初となるスクーデリア・フェラーリのドライバーとしてFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦。スーパーGTやフォーミュラEも経験し、現在はスーパーフォーミュラのほか、チーム代表兼ドライバーとしてWECでも活躍している。

小林選手は予選11番手。ポールポジションはKids com Team KCMGのチームメイトである福住仁嶺選手だったが、同様のセッティングでもストレートでスピードが伸びず、この差になってしまったという。ところが本戦では、スタートで遅れをとった福住選手に対し、小林選手は作戦がハマったこともあり、レースが進むにつれて順位を大きくアップ。最終的には3位表彰台を獲得した。いっぽう、福住選手も粘りを見せ、終盤での熾烈なバトルを制して5位入賞を果たした。

F1やWECでも華々しい戦績を残している小林可夢偉選手(右)。スーパーフォーミュラでの表彰台は久しぶりだったが、世界を相手に戦ってきたベテランの人気は高く、多くのファンが声援を送っていた。
F1やWECでも華々しい戦績を残している小林可夢偉選手(右)。スーパーフォーミュラでの表彰台は久しぶりだったが、世界を相手に戦ってきたベテランの人気は高く、多くのファンが声援を送っていた。    関耕一郎

2019年のもてぎ以来となる表彰台の感想を問われると「5年前と言われると心に刺さるので……」と前置きし「本来はもっと上を目指したい」としつつも、好結果を得たことについて、応援してくれるファンをはじめ、チームやスポンサーに感謝を述べた。「ピットストップを早くして、クリーンエアでいいペースで走れたことが、ジャンプアップできた理由」という戦略面の成功、またレースペースのよさを収穫としてあげた小林選手。残りのラウンドでの活躍を期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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