近所の林道は序の口 ランドローバー・ディフェンダー 130 長期テスト(4) 有用なサラウンドカメラ

公開 : 2024.11.09 09:45

約5.4mの全長を持つディフェンダー 130 ランドローバーの「3本柱」の重要な1台 安定した走りで、高級車へ仲間入りした現行型 普段使いとの親和性を、英編集部が長期テストで評価

積算1万7863km 近所にある林道へ挑戦

筆者の自宅周辺には、マウンテンバイクなどにもうってつけな、細い林道は殆どない。しかし少し離れた場所にある、趣味で利用されている小さな飛行場の近くになら、丁度いいルートが伸びている。

そこを走っていると、しばしばスカイダイビングを楽しんでいる集団を目撃する。パラシュートを開いて舞い降りてくる姿を大空と一緒に眺めつつ、お茶を飲んで休憩するのも悪くない。その後、気晴らしついでに林道へ紛れれば、仕事のストレス発散にもなる。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)
ランドローバーディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)

このルートは比較的短く、暖かい季節なら簡単に往復して戻って来れる。だが、寒くなる11月から3月までは、凍結の可能性があることを理由に閉鎖されてしまう。今年の春先にも、ここを走りたいタイミングはあったのだが、開放前で叶わなかった。

閉鎖直前の今なら、鬱蒼とした林道をランドローバー・ディフェンダー 130で散策できる。自慢の優れたオフロード・システムを、ある程度は検証できると考えた。

悪路で役立つサラウンドカメラ

ディフェンダー 130のダッシュボード中央には、大きなタッチモニターが備わる。そこに表示できる、「オフロード」画面は素晴らしい。前後左右のサスペンションが、現在どのくらい圧力を受けているのか、あるいは伸びた状態なのかを確かめられる。

フロントタイヤのステアリング角度や、センターデフとリアデフをロックする必要性も確認できる。基本的にディフェンダー130の走破性は高く、通常は路面も険しくないから、ロックする場面は低いのだけれど。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)

それ以上に有用といえるのが、車両の周囲360度の路面状態を確認できる、サラウンドカメラ。任意の場所を拡大表示できるうえ、クルマ直下の映像を、バーチャルで表示することも可能だ。

この直下の映像は、ライブではない。直前に走行した路面の映像をもとに、場所を割り出して表示されている。

大きなディフェンダー 130を、狭い林道で正確に進めるのに、サラウンドカメラはとても有効。長靴でなければ歩けないような悪条件でも、ホイールを傷つけそうな岩や、ボディをひっかきそうな立木の場所を把握できるから。

筆者は、以前に険しいオフロードを別のクルマで走行したことがある。カメラ映像は、タイヤを狙い通り導くのに極めて役に立つと、その時も実感している。

林道はディフェンダー 130にとって序の口

エアスプリングを膨らまして車高を持ち上げられるが、この程度の林道では必要なかった。生えた草が撫でたおかげで、ボディの底面は少しきれいになったかも。ローレンジへ切り替える必要もなかった。というより、気にするほどの悪路ではなかった。

あくまでも、今回の道はディフェンダー 130にとって序の口に過ぎない。フェラーリで例えるなら、走り慣れたサーキットへ持ち込み、カップホルダーのコーヒーを飲みつつ、4000rpm以下を維持しても勝てるような難易度だろう。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 アウトバウンド(英国仕様)

それでも、限られた機会を有効に使えたとは思っている。ボディには適度に汚れが付着したから、少し挑戦したように見えなくもない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト ランドローバー・ディフェンダー 130の前後関係

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