ライバルはBMWやアウディ! ニオEL8へ試乗 航続距離は充分 653psでも足が柔らかすぎる?

公開 : 2024.11.11 19:05

iXやモデルXに並ぶサイズの電動SUV、ニオEL8 レンジローバー・スポーツに似た横姿  優れた素材と品質で高級感漂う車内 過剰なほどのパワーに柔らかすぎる足まわり 英編集部が評価

レンジローバー・スポーツに似た横姿

AUTOCARの読者なら、ニオというブランドはご存知かもしれない。だが、英国の道路で筆者は目撃したことがまだない。洗練されたクルマづくりで欧州市場での存在感を拡大している、新興の中国メーカーだ。

ドイツとデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、オランダ(ネザーランド)では、既に販売が始まっている。英国で買えるようになる日も近いらしい。グレートブリテン島南部のオックスフォードに、同社は「国際R&Dセンター」を保有している。

ニオEL8 ロングレンジ・エグゼクティブ(欧州仕様)
ニオEL8 ロングレンジ・エグゼクティブ(欧州仕様)

恐らく先鋒を務めるのは、今回試乗した大型SUVのニオEL8だと考えられる。ブランドのフラッグシップモデルだ。

スタイリングはスッキリまとまっている。横姿はランドローバー・レンジローバー・スポーツに似ているかも。22インチ・アルミホイールのデザインも。ただし、アグレッシブさが薄い代わりに、強く印象に残る見た目ではない。

フロントガラス上部に飛び出ているのは、自律運転システム用のレーザーセンサー、ライダー。フロントピラーの上端にも、カメラが突き出ている。グーグル・ストリートビューの撮影車両のような雰囲気がある。

全長は5099mm、全幅が1989mm、全高が1750mmと大きく、レンジローバーより約50mm長い。グレートブリテン島の公道では、少し大きすぎるように思う。この巨体にも関わらず、空気抵抗を示すCd値は0.25と優秀といえる。

巧妙な素材と優れた品質で高級感漂う車内

アルミニウムと超強力鋼を使用したプラットフォームは、同社のサルーン、TE7や、ひと回り小さいSUV、EL7などと共有。フロア部分の駆動用バッテリーと、前後の駆動用モーターなども同じものが載る。

ドアを開くと、ミニマリスティックなインテリアが広がる。テスラのように、ダッシュボード中央の大きなタッチモニターへ、殆どの車載機能の操作系が集約されている。

ニオEL8 ロングレンジ・エグゼクティブ(欧州仕様)
ニオEL8 ロングレンジ・エグゼクティブ(欧州仕様)

内装は、巧妙な素材選択と優れた製造品質で高級感が漂う。BMWアウディをライバルに掲げるニオだが、確かに車内からはそんな意志を感じ取れる。シートレイアウトは3列で定員は6名。2列目は広々としたセパレートシートで、特別感が演出されている。

タッチモニターは巨大だが、サイズを有効に活用できていない印象。反応自体は素早いものの、アイコンが小さく項目を選択しにくい。運転席の正面には、スピードなどを表示してくれる、小さなメーター用モニターが備わる。

インフォテインメント・システムは、音声操作へ対応。ニオ独自のアシスタント、ノーミも実装する。ダッシュボードの奥に小さなモニターがあり、表情が描き出される。筆者の言葉を上手く聞き取る場面もあったが、そうではないことも多かった。

小物入れなどは、全体的に不足気味。3列シートだから、荷室容量は265Lと狭め。3列目を折りたためば、810Lへ拡大できる。装備は充実しており、50度の温度を保てる保温庫や、マッサージ機能とヒーター内蔵のシート、アンビエントライトなどが標準だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事