ポルシェ・カイエン・ターボ
公開 : 2015.01.25 23:50 更新 : 2017.05.29 19:04
■どんなクルマ?
衝撃的なことに、20psと5.1kg-mの増強を果たした2015年式カイエン・ターボは、最高出力/最大トルク:519ps/76.5kg-mであるにもかかわらず、実はポルシェ最速のビッグSUVではない。
これからの ’最速カイエン’ は、カイエン・ターボSになるのだ。同じくカイエンの中のハンドリング・モデルもカイエン・ターボではない。’ハンドリング・カイエン’ の役割は、カイエンGTSが果たすのである。
ならば一体、カイエン・ターボにはどんな職分が与えられているのだろうか? 早速見ていくことにしょう。
■どんな感じ?
’最速カイエン’ の称号を失ったうえに、燃費やCO2排出量が優れたからといって、おとなしいクルマになったと考えるのはまだ早い。
2.2トンのこのクルマがターボの唸り声とV8ユニットの轟音とともに脱兎のごとく駆け抜けるさまを目の当たりにすれば、誰だって違和感(あるいは恐怖感)を覚えることになるはずだ。
その反面、平常時の走行が驚くほど落ち着いているのは、8速のオートマティック・ギアボックスによるところが大きい。静と動のキャラクターがあまりにかけ離れ、なおかつ両者を瞬時にスイッチできる点こそ、カイエン・ターボの主だった才腕だといってもいいのではないだろうか。
明らかにサスペンションの硬さが変わったな、と思わせることもなく、’いつのまにか’ コンフォートからスリリングな状態に切り替わっているのもカイエン・ターボの特徴だ。
ちなみにカイエン・ターボでは、アダプティブ・エア・サスペンションは標準装着。このおかげで、特に21インチのオプション・ホイールを履いた場合にはバンプの初期吸収に不満を感じるものの、ピッチやロールの類はうまく手なずけるられている。
ダンパーを次第に締めあげてゆけば、スポーツ・モデル相応の突き上げを看取することになるけれど、ごく一般的な路面上をコンフォート・モードで走る際には後部座席に座る家族から不満の声があがることはないだろう。