フォード・レンジャー・ダブルキャブ・リミテッド 2.2 TDCi

公開 : 2012.07.25 18:23  更新 : 2017.05.29 18:55

■どんなクルマ?

「One Ford」のコンセプトの下、最初に造られたピックアップ・モデルがこのレンジャーだ。従って、このモデルは世界各国で販売されるモデルとなる。

その生産はタイで行われる。現代的なプラットフォームに、アメリカのハンサムなピックアップ・ボディが載せられたこのモデルは、以前のマツダと共同開発されたモデルよりも、大きなエンジンと電子機器を積む。

そのレンジャーの英国での初めてのテストだ。

4ドアのダブル・キャブ・スタイルは、用意される3つのボディ・スタイルのうちのひとつだ。残りは、2ドアのレギュラー・キャブと、マツダRX-8のような小さな後ヒンジドアを持つスーパー・キャブである。そのうちレギュラー・キャブは2.3メートル、1.2トンのペイロードを持つ本格的な”馬車馬”だ。一方、ダブル・キャブは、1.56メートル、1トンのペイロードとなっている。

4×4モデルは、最高3350kgの重さとなるが、トレーラーを牽引できるなど、レンジャーの用途を幅広くする。

エンジンは2台のディーゼルが用意される。148bhpの2.2リッター4気筒と、197bhpの3.2リッター5気筒だ。ダブル・キャブ・リミテッド2.2 TDCiとダブル・キャブ・ワイルド・トラック3.2 TDCiにはオプションで6速オートマティックが用意されるほかは、6速のマニュアルが標準となる。そして、多くのモデルには、通常RWD、必要に応じて4WDとなるスイッチ・オン・ザ・フライ4WDシステムが用意される。

この他、電子制御スタビリティ・コントロール、ヒル・ディセント・コントロール、ヒル・スタート・アシスト、オートマチック・ヘッドランプ、ブルートゥース/USBコネクトなどが装備される。その結果、キャビン内部はピックアップ・モデルというよりも、乗用車の雰囲気に近い。

■どんな感じ?

高床式のキャビンによじ登ると、プラスティッキーではあるが、魅力的でどっしりと構えたコクピットが迎えてくれる。それは、現行のフォーカスよりも優れている感じを受ける。そして、そのキャビンは大人4人のための十分なスペースが保たれている。リミテッド・スペックに標準装備される本革シートの座り心地も良い。

0-100km/h加速12.5秒、最高速度175km/hの2.2 TDCiのパフォーマンスはいささかのんびりしているかもしれない。特に、低速では重々しさを感じざるをエない。更に、オプションのオートマティック・トランスミッションは、都市部においてはダルなところもある。

しかし、50km/hを越えたあたりから、レンジャーは活発になる。特にクルージングは驚くほどに洗練されている。

その足回りは、荷物を積むモデルとして設計されたということを考えると、予想以上に固い。しかし、それは許容範囲の固さだ。特に、大きな轍や凹みがない限り、極めてスムーズな乗り味だ。

2WDモードでは、ステアリングは誠実で、大きなレンジャーだが、曲がりくねった細い道でもスイスイと入っていける。ところが、4×4モードになると、ステアリングは途端に重くなるのだ。

今回はラフな扱いをレンジャーで試すことはできなかったが、800mmの水深高、28度のアプローチ&デパーチャー・アングル、25度のブレークオーバー・アングル、229mmのグランド・クリアランスなどの数値を見れば、オフローダーとしてその性能を疑うことはないだろう。

■「買い」か?

ただ単なるピックアップとしてだけではなく、ファミリー・レジャー向けとしても心地よいモデルであり、想像するよりも遥かに好ましいクルマだ。ダート・バイクやジェット・スキーを積むのにもピッタリなクルマでもある。

レンジャーは、販売面ではフォルクスワーゲン・アマロックや、いささか旧いトヨタハイラックス三菱L200ウォーリアーとの戦いになろう。

(アラン・ミュア)

フォード・レンジャー・ダブルキャブ・リミテッド 2.2 TDCi

価格 27,600ポンド(334万円)
最高速度 175km/h
0-100km/h加速 12.5秒
燃費 10.7km/l
Co2排出量 248g/km
乾燥重量 2063kg
エンジン 4気筒2198ccターボ・ディーゼル
最高出力 148bhp/3700rpm
最大トルク 38.3kg-m/1500rpm
ギアボックス 6速オートマティック

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