「1クラス上」の上質さ! フォルクスワーゲン・ポロへ試乗 強み沢山のハッチバック

公開 : 2024.11.06 19:05

スペインでの生産が終了した6代目ポロ 仕上げの丁寧な内装 ゆとりある車内空間 燃費の良い95psターボ しなやかな乗り心地に安定した走り 外界との優れた隔離性 英編集部が評価

トレンドはSUVへ 208やクリオとの厳しい競争

残念な事実だが、欧州では小さなハッチバックは減少傾向。精鋭の1台といえるフォルクスワーゲン・ポロも、その変化には逆らえないようだ。

小さなクルマへの支持は変わらない。だが、最近のトレンドは少し高級なSUVにある。フォルクスワーゲンも、Tクロスとタイゴというポロ・ベースの2種類を擁する。

フォルクスワーゲン・ポロ(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ポロ(英国仕様)

現行の6代目ポロが登場したのは、2017年。優れた仕上がりで、クラスリーダーの位置を掴んだ。だが、新しいプジョー208ルノー・クリオ(ルーテシア)の登場で、厳しい競争へさらされている。

成功作として、6代目は先代からの正常進化版といえるが、スタイリングの目新しさは小さい。とはいえ車内は刷新されており、デジタル技術も積極的に実装する。生産縮小が進む今、改めて試乗してみたい。

ボディサイズは、全長が4074mm、全幅は1751mm、全高が1435mm。モジュラー仕様のMQB-A0プラットフォームを基礎骨格にし、5代目から81mm長く、63mm広い。ホイールは、15インチから17インチが用意される。

ひと回り以上大きくなったおかげで、路上での存在感は充分。2022年にフェイスリフトを受けたが、その内容は限定的だ。スリムなフロントグリルと眼光の鋭いLEDヘッドライトで、見た目は凛々しい。

スタイリングの特徴となるのが、フロントのホイールアーチ後方から立ち上がる、2本のキャラクターライン。上下の変化を付け、印象を引き締めている。フォルクスワーゲンとしては冒険的な処理だが、208ほどの個性はないだろう。

仕上げの丁寧な内装 ゆとりある車内空間

ボディ剛性は、新プラットフォームにより強化。サスペンションの動作精度が上がり、乗り心地も改善している。ちなみに英国には、15mm車高が落ちるアダプティブダンパーを得る、スポーツセレクト仕様もある。

インテリアデザインも、落ち着いていて個性は薄め。だが製造品質は高く、装備は充実し、長時間でも快適といえる。内装の仕上げは丁寧で、ソリッド感が全体に漂う。

フォルクスワーゲン・ポロ(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ポロ(英国仕様)

ドアの内張りなどには硬質なプラスティックも見られるが、足もとが中心。ダッシュボード上部などはソフト加工され、肌触りが良く、高級感を生んでいる。

化粧トリムは、当初はボディ色とコーディネートできる選択肢があったが、現在の英国仕様はモノトーンに絞られている。光沢感やテクスチャが異なる程度だ。

車内空間の広さは、依然として強み。前席側の上下方向にはゆとりがあり、大人でも後席で快適に過ごせる。新しいルノー・クリオより、開放感も高い。ISOFIXのチャイルドシート・フックは、左右の2席へ備わる。

荷室容量は355L。後席を倒すと、1125Lへ広がる。このクラスでは、最大の容量といっていい。

インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。音声操作も利用できる。タッチモニターの表示は鮮明で、反応は素早い。ショートカットキーも便利だし、エアコンには実際に押せるハードスイッチが残されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    キースWRジョーンズ

    Keith WR Jones

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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