電気自動車への苦手意識はもったいない【新米編集長コラム#5】
公開 : 2024.10.25 17:05
8月1日よりAUTOCAR JAPAN編集長に就任したヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第5回は自動車編集者としての、苦手意識の話です。
あまりに経験と知識が不足
日本でイタリア車を乗り継いでいることを、イタリア人に伝えると、不思議な顔をされる時がある。フィアットが2台で、次がランチア2台! とこちらは親近感を持ってもらうためのエピソードとして投入しているのだが、何度かこう言われた。
「なんでだい? 日本にはあんなに素晴らしいクルマがたくさんあるじゃないか!」
……なるほどである。確かに日本でフィアット・ウーノ・ターボに乗っていたというのは、イタリアでトヨタ・スターレット・ターボやホンダ・シビック・タイプRに乗っているのと見え方としては同じなのであろう。
これまで偏ったクルマ選びをしてきたが(左ハンドルのイタリア車マニュアルしか買ったことがない)、クルマの好みが偏っているかといえばそうでもなく、国産車にも好きなクルマは多い。
マツダCX-3のディーゼルは春先くらいまで真剣に買おうか悩んでいたし、スズキ・スイフトスポーツはあと10歳若かったら買っていたかもしれない。最近はヒョンデ・アイオニック5を長期レポートとして担当していることもあり、電気自動車への苦手意識もなくなってきた。
ここでいう苦手意識とは電気自動車自体ではなく、自動車媒体の編集者として扱うのに、あまりに経験と知識が不足していたということだ。インフラとしての充電環境も実体験としてわかってきたし、現在は自宅(賃貸の一軒家)に200Vの普通充電環境を整えようとしているほどだ。
編集者人生に新たな扉を開けてくれた
若手編集者の頃は同様にドイツ車への苦手意識があったが、記事をたくさん作るうちに、そこは克服できたと思っている。よくないのは先入観や狭い視野を持つことで、そこはネコ・パブリッシング入社の頃からボス(当時の社長であり現在の社長でもある笹本健次)に叩き込まれたことだ。
だから先入観を取り除いて新しいものを受け入れることは、自分にとっては必要不可欠なことで、事実、電気自動車、そして全く未知の世界である韓国車のアイオニック5と出会ったことは、私の編集者人生に新たな扉を開けてくれた。51歳でだいぶ頭も固くなってきた我が身を振り返りつつ、これを読んで頂いている方々には、新しいものも受け入れてみると意外と楽しめるかも! とお伝えしたい。
もう少しストレートに書くと、電気自動車や韓国車というだけで、本能的に拒否するのはもったいないという話。実際に触れたり乗ったりして、それでも性に合わないならやめればいいわけで、今を楽しまなければ損! なのである。というわけで今なら、ランチア・イプシロンのEVも抵抗なく受け入れることができそうだ。