海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれアイテムから悪趣味な改造まで 34選 後編
公開 : 2024.11.17 18:25
ポップアップ・サンルーフ
戦後のクルマ社会において、サンルーフはどちらかというと上流階級的なものとみなされていた。アフターマーケットで手に入るものといえば、折り畳み式のベバスト(Webasto)タイプのものに限られており、価格も高かった。やがて、ガラスやプラスチックの普及と大量生産により、安価なポップアップ式が選べるようになった。
ポップアップ式サンルーフは1970年代初頭に登場し、どんなクルマにもたちまちシックな雰囲気を添えたが、雨漏りすることが多かった。自動車メーカーの密閉性の高いサンルーフの開発に追われたが、1990年代に入ると、ポップアップ式よりもさらに汎用性の高いスライド式に取って代わられ、数を減らしていった。
ドリフト用シフトレバー
日本のサブカルチャーとして始まったドリフトのスタイルの1つに、シフトレバーを延ばすというものがある。本来は、ドリフト走行中のシフトチェンジの際にレバーを握りやすくするためだった。それがやがて個性をアピールするためのスタイルとして定着していったのだ。
今でもドリフト愛好家の間では人気があるが、既存のショートレバーを長くしても特に利点はない。かえってレバーが重くなり、素早い操作を妨げていると感じる人もいる。
ガーフィールド
『ガーフィールド』は、米国の漫画家ジム・デイビス氏が描く新聞連載用の漫画である。デイビス氏は、欧州のスヌーピーに相当するキャラクターを作り、犬ではなく猫の飼い主にも楽しんでもらおうと考えた。このアイデアは見事に当たり、数多くのグッズが販売されるほどの人気作品となった。
吸盤付きのガーフィールドのぬいぐるみ人形「スタック・オン・ユー(Stuck On You)」は特に有名だ。実は、当初は吸盤ではなくマジックテープを採用し、カーテンやクッションに貼り付けられるようにする計画だった。ところが、試作品の段階で誤って吸盤が付けられてしまったのだ。
デイビス氏はこの吸盤のアイデアを採用し、1987年に発売した。何百万人ものドライバーが購入し、愛車の窓に付けるようになった。多くの人を笑顔にしたが、一番笑ったのはデイビス氏だろう。彼はこのグッズのおかげで5000万ドルを稼いだのである。
ボディキット
サンシェードや追加のライトなど、クルマにさまざまなカスタムパーツを装着するというのは、第二次世界大戦前から見られた。1970年代に入り、安価なグラスファイバー成形技術が発展すると、アフターマーケット用のボディキットが本格的に普及するようになる。エアロバンパー、スポイラー、オーバーフェンダーなどモータースポーツの影響を受けたものが多く、自動車メーカーも参入するようになった。
トレンドの絶頂期は地域によって差があるが、英国では雑誌『Max Power』を中心とした1990年代の改造ブームが頂点だった。どんなクルマでも改造の対象となった。しかし、2000年代初頭には手頃な価格のホットハッチが復活したこともあり、トレンドは急速に衰退していった。