【惜しい! 無念!】 Q45、180SXにラシーン! 一代限りで終わってしまった名車たち:日産編

公開 : 2024.10.26 07:05

スカイラインクロスオーバー(2009~2016年)

スカイラインにとって七代目(R31型/1986~1990年)以来となるステーションワゴン・タイプ、それが『スカイライン・クロスオーバー』である。

同時期に発売していたスカイライン・セダン/クーペ(V36型)とプラットフォームは基本的に同じだが、スタイリングを考慮した結果ホイールベースを50mm短縮し、SUVらしいボリューム感のあるルックスを作った。

日産スカイライン・クロスオーバー(2009~2016年)
日産スカイライン・クロスオーバー(2009~2016年)    日産

このクルマの正体は、日産の高級車ブランドであるインフィニティが北米向けに発売した『EX35』の日本向けモデル。ボディサイズは全長4635×全幅1805×全高1575mmでホイールベースは2800mm。見た目ほど実際のサイズは大きくないのだが、デザイナーの手腕によって若々しく遊び心のあるエクステリアデザインとなった。

メカニズムはエンジンが3.7LV6(VQ37VHR/330ps)で、トランスミッションは7速AT。後輪駆動と4WD(アテーサE-TS)を採用する。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアは新設計のマルチリンクで、タイヤは全車18インチ。オールシーズンタイヤなのが、北米仕様との共通点を感じさせる。

リーマンショックや自動車税の高さなどもあって販売は好調とはいえなかったが、当時取材し、クルマのデキは良かったと記憶する。しかしスカイラインの名称を使ったクロスオーバーに、違和感を覚えたファンもいたのではないか。引き継がれてきた名車の名前を使うなら、二代、三代と続けていく覚悟が必要だったのかも知れない。

ティーノ(1998~2006年)

『オールマイティーノ』のキャッチコピーどおり、ワイド、ショート、ハイトな独特のプロポーションを持つ『ティーノ』。ゆったりとした室内空間は前席3名、後席3名の6人乗り。実際は前席2名+1くらいのスペースではあったが、いずれにしてもサニー(B15型)の『MSプラットフォーム』がベースであることを考えれば、いかに3ナンバーに至る全幅の拡張(1760mm)が利いているかがわかる。

パワートレインは2L直4 (SR20DE型/135ps)+ハイパーCVT、または1.8L直4(QG18DE/120ps、122ps)+4速ATを当初用意し、2000年には100台限定でハイブリッド仕様も発売された。

日産ティーノ(1998~2006年)
日産ティーノ(1998~2006年)     日産

当初からハイブリッド仕様を販売する計画であったため、高床式、かつ2重底となっているのだが、わずか100台という少なさに違和感を覚えたのを記憶している。

スペイン製でヨーロッパ向けとなる『アルメーラ・ティーノ』も発売されたが、主力はディーゼルエンジン車であり、日本仕様の生産は日本で行われた(村山工場、九州工場)。

ライバルはフィアット・ムルティプラやホンダ・エディックスだが、こちらは前席が完全な3人乗りであるのが大きな特徴であり、ティーノとのコンセプトの違いは明確。ムルティプラの室内は広く、乗り心地は優雅。エディックスも広いが、乗り心地は意外と引き締まっている。

では仮にティーノに二代目があったらどんなクルマになっていたのか。興味は尽きない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    木原寛明

    Hiroaki Kihara

    1965年生まれ。玉川大学では体育会ノリの自動車工学研究部に所属し、まだ未舗装だった峠道を走りまくった。最初の愛車(本当は父のもの)は2代目プレリュード(5MT)。次がフルチューンのランサーEXターボ。卒業してレースの世界へと足を踏み入れたものの、フォーミュラまで乗って都合3年で挫折。26歳で自動車雑誌の編集部の門を叩き、紙時代の『AUTOCAR JAPAN』を経て、気が付けばこの業界に30年以上。そろそろオーバーホールが必要なお年頃ですが頑張ります!
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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