驚異的な「二面性」の傑作 ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッドへ試乗 総合783ps!

公開 : 2024.11.10 19:05

大幅なアップデートを受けたパナメーラ その頂点に君臨するターボS E-ハイブリッド システム総合で783ps アクティブライド・サス実装で驚くほどの二面性 英編集部が評価

パナメーラの頂点に君臨するターボS E-HV

初代970型ポルシェ・パナメーラの登場は、2009年。2016年に登場した2代目は、2024年に大幅なアップデートを受けている。15年の進化を経て、その頂点に君臨するのが、今回試乗したプラグイン・ハイブリッドのターボS E-ハイブリッドだ。

最高速度は、歴代最速となる時速200マイルを突破。325km/hがうたわれる。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを、内燃エンジンを積んだ4ドア・4シーターモデルとして、最短時間で周回することができる。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(欧州仕様)

フロントに搭載される、4.0L V8ツインターボの最高出力は600psで、最大トルクは81.4kg-m。ここに190psを発揮するハイブリッド・パワートレインが融合し、システム総合での最高出力は783psに達する。最大トルクは、3桁の101.8kg-mに届く。

これは、ドイツ・ミュンヘンが誇るアウトバーン・ランナー、最新BMW M5の727psを凌駕するパワー。狙ったような数字に見えるが、偶然なのだろうか。ちなみに、電気だけで最長83kmを走ることも可能だ。

パナメーラ・ターボS E-ハイブリッドの英国価格は、スーパーカー級といえる16万8700ポンド(約3273万円)から。いささか手に届きにくいところにある。

アクティブライド・サス実装 コスパは良い

それでも、アルミホイールは21インチのセンターロック。その奥で鈍く光るのは、PCCBと呼ばれるカーボンセラミック・ブレーキ。後輪操舵システムと、PVT+という名のアクティブ・トルクベクタリング機能も実装する。

サスペンションは、最新のポルシェ・アクティブライド。これらの装備を1つ下のパナメーラ・ターボ E-ハイブリッドへ組むと、英国価格はほぼ同等になる。計算が苦手な人でも、法外な金額ではないとわかるはず。むしろ、コスパは良い方だろう。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(欧州仕様)

一層の特別感がお望みなら、追加のダウンフォースを生むカーボン・エアロキットというオプションがある。フロントやサイドのスポイラーと、リアディフューザーを獲得でき、英国価格は1万1000ポンド(約213万円)。ニュルへ挑むなら欲しい装備だ。

速さ以上に、ターボS E-ハイブリッドを別格だと思わせるのが、動的能力の幅の広さ。ポルシェ・アクティブライド・サスは電圧400Vで稼働するため、ハイブリッドを積むパナメーラでしか利用できない。この技術が、それを実現させている。

通常のサスペンションと比較して、高速クルージング時の乗り心地や遮音性は別物。コーナーへ飛び込めば、ドライバーも違和感を感じない程度にボディは前後左右へ傾けられる。加減速時や旋回時に乗員へかかる、遠心力や慣性を穏やかに相殺するために。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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