【第1回:BMW3シリーズ(E46)】 第5水曜日の男! 遠藤イヅルの『令和的』ヤングタイマー列伝!

公開 : 2024.10.30 17:05

320iが直6……それだけで欲しくなります

そしてやはりBMWといえばエンジン。社名自体がドイツ語で『バイエルン州のエンジン工場』を意味する、『Bayerische Motoren Werke(バイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ)』というBMWですものね。

E46では、1.6リッター直4の『316i』から、3.2リッター直6の『M3』、さらには『M3GTR』の4リッターV8(!)まで幅広いラインナップを誇りましたが、BMWの象徴は直6エンジン。『320i』、『323i』、『325i』、『328i』、『330i』が存在しました。ただし、この頃からすでに末尾2桁の数字が必ずしも排気量を示すものではなくなっており、末期の320iは2.2リッターだったりします。マニア泣かせです。

E46コンパクトは、CセグハッチバックなのにFRで、大いに魅力的。
E46コンパクトは、CセグハッチバックなのにFRで、大いに魅力的。    BMW

後継のE90になると直6は『323i』、『325i』など2リッター以上の搭載となり、さらに現在のBMWでは、直6エンジンを積むのはごく一部の上位グレードのみに。320iが直6だったことがとても贅沢に感じられるのです。そう考えると、E46の320iが欲しくなってしまいます。ちなみに直4モデルも、エンジン、ハンドリングともに抜群に気持ちよいことは追記しておかねばなりません。

ボディバリエーションは、E36と同様に4ドアセダン、2ドアクーペ、カブリオレ、ツーリング(ステーションワゴン)、そしてコンパクトを称された3ドアハッチバックが用意されました。ゴルフに対抗するCセグメントに属するコンパクトハッチバックなのにFR、という貴重なキャラクターは、その後、2代目までの『1シリーズ』が受け継いでいます。

そうそう。これまた余談なのですが、E36コンパクトの中身はなんと、2代目E30を流用していました。ガワだけ新しかったのです。一方のE46コンパクトはシャシーもE46から作られたため、名実ともにE46のコンパクトとなったのでした。

過去と現代がちょうど良く結実するクルマ

伝統とモダンが高次元で折り合ったデザイン、豊富な直6エンジンのバリエーションなど、E46の3シリーズは昔のBMWらしさと現代的な要素がちょうどよく結実するクルマと言えます。また、現代の3シリーズはかつての5シリーズなみに大きなクルマになってしまいましたが、E46ではセダンの全長は4.4m台で、全幅も1.7mを少し超える程度。つまりほぼ5ナンバーサイズなのです。この小ささも街中での乗りやすさにつながっています。

いかがでしたでしょうか。E46、たしかに「今見直すといいよね」というクルマかと思うのです。中古車もリーズナブルで、台数がまだまだ多くあるのも魅力です。

ユーティリティにも優れたツーリング。写真は後期モデル。
ユーティリティにも優れたツーリング。写真は後期モデル。    BMW

次回も『第5水曜日の男』として、また「そうきたか」というクルマをお送りしたいと思います。ご期待ください。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    遠藤イヅル

    Izuru Endo

    1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター兼ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。実用車や商用車を好み、希少性が高い車種を乗り継ぐ。現在の所有は1987年式日産VWサンタナ、1985年式日産サニーカリフォルニア、2013年式ルノー・ルーテシア。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

遠藤イヅルの『令和的』ヤングタイマー列伝!の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事