「トヨタMR2」登場で計画変更! パンサー・ソロ 2(1) 独創的なカタチ 複合素材のタブシャシー
公開 : 2024.11.16 17:45
普段使いできるミドシップ・スポーツで再興を図ったパンサー 新開発の複合素材シャシー 独創的な容姿にフォードの4気筒ターボ トヨタMR2の登場で計画変更 英編集部が貴重な1台をご紹介
専用設計のプラットフォーム 市販は11台
当初から個性的なクルマを生み出してきたパンサーだが、1990年発売のソロ 2も相当な異端児といえた。ジャガーの部品を流用した他ブランドのマネとは異なる、独創的なスタイリングのミドシップ・クーペだ。
複合素材を用いたプラットフォームは専用設計。当時のロータスをライバルに据えた、スポーツカーが目指されていた。フォード由来の、ベーシックな2.0L 4気筒ターボエンジンで。
パンサー・ソロをご存知なかったとしても、まったく不思議ではない。生産期間は約1年で、形になったのは26台。そのうち、高額を支払ったユーザーへ納車されたのは、11台でしかない。
とはいえ、ブランドイメージを刷新しようという試みは達成されていたと思う。異論が絶えなかった、クラシカルな見た目のモデルを提供した時代へ別れを告げて。
クルマ作りの方針を転換するきっかけになったのは、パンサー・ウェストウィンズ社の倒産。1980年に同社の経営権は、創業者のロバート・ボブ・ジャンケル氏から、ヤング・チョル・キム氏率いる韓国のジンド・コーポレーション社へ売却されたのだ。
日常利用できるミドシップ・クーペで再興
キムは、それ以前に生産されていたパンサー・リマを、フォードの4気筒エンジンへ載せ替え再生産。パンサー・カリスタとして復活させた。さらに、日常利用できる実用的なミドシップ・クーペを1万ポンド以下で提供することで、再興を図った。
カリスタの生産を通じ、フォードからのエンジン供給体制は既に確立されていた。当時のエスコート XR3i用1.6Lユニットも取引き契約へ追加することは、さほど難しいことではなかったようだ。
従来と異なり、シャシーも完全に新設計された。技術者として指名されたのは、フォードGT40や、後のGT70にも関わった技術者、レン・ベイリー氏だ。
スタイリングは、英国オペルのヴォグゾールでデザイナーを努めた経験を持つ、ケン・グリーンリー氏へ依頼。空力特性に優れ、独創的なボディが創出される。
開発が始まったのは1983年。ベイリーは、整った形状のチューブラー・シャシーを設計し、グリーンリーはアルミニウム・パネルをプレス加工する、キャブフォワードのシルエットをまとめた。
作業は順調に進み、プロトタイプが発表されたのは1984年10月の英国のバーミンガム・モーターショー。AUTOCARの取材に対し、「最初のモデルは来年に発売予定です」。とキムは回答している。