「トヨタMR2」登場で計画変更! パンサー・ソロ 2(1) 独創的なカタチ 複合素材のタブシャシー
公開 : 2024.11.16 17:45
トヨタMR2の登場で開発計画を変更
ところが、このソロ 1には未解決の問題が残っていた。ボディの仕上がりは高水準に見えたものの、キャビンのパッケージングは未完成。ミドシップされるエンジンは、充分に冷却できていなかった。
そんな折り、トヨタはAW1系の初代MR2を発表。キムにも試乗する機会が巡ってきた。彼は、優れた走行性能と手頃な価格へ感銘を受けるのと同時に、ライバルとしてソロが苦戦すると判断。開発計画には変更が求められた。
少なくとも、ソロ 1の反響は好意的なものだった。最終的に、基本的なコンセプトを維持しながら、ロータス・エスプリ・ターボへ対抗できるような、上級モデルにすることが決まる。ソロ 2へ改め、価格帯を引き上げ、最高出力と洗練性を高めることで。
フォードから供給を受けたのは、コスワースと共同開発された、フォード・シエラ用の4気筒ツインカム・ターボユニット。2.0L 16バルブで、最高出力206ps、最大トルク27.6kg-mを発揮した。
トランスミッションは、5速マニュアル。フォード・スペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)への在籍経験を持つ、ロッド・マンスフィールド氏が創業したレイマー社の技術により、ファーガソン社の四輪駆動システムが実装された。
複合素材タブシャシー 160km/hの事故でもほぼ無傷
かくして、ミドシップの四輪駆動という構成は、その時点では量産車初だった。また、シャシーは延長され+2のリアシートを獲得。風洞実験では、空気抵抗を示すCd値が0.32と小さいことも判明。量産車では初めて、有効なダウンフォースも生成していた。
先進的なシャシー開発へ貢献したのが、レーシングカー・マニュファクチャーのマーチ・エンジニアリング社。キャビン部分へ堅牢なタブ構造を採用し、前後に取り付けられたスチール製サブフレームへ、パワートレインとサスペンションが搭載された。
中央部分のタブは、アルミニウム・ハニカム材のコアを、エポキシ樹脂で固めたカーボン・ケブラーとグラスファイバーで強化するという構成。ねじり剛性は極めて高く、優れた操縦性を引き出すことを可能としていた。同時に、非常に軽量でもあった。
タブシャシーは、安全性も驚くほど高かった。実際、初期の生産車の1台は160km/hで事故を起こしているが、乗員はほぼ無傷で済んだという。
この続きは、パンサー・ソロ 2(2)にて。