ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(2) 現代人へ理想的なデトックス 熱くなれる92ps!
公開 : 2024.11.17 17:46
タイプRが登場する以前、高性能なホンダに命名された「Si」 多くのドライバーを魅了したFFスポーツ 以心伝心のような操縦性 想像以上に熱くなれる92ps 英編集部が2台を振り返る
もくじ
ー快活な走りと一体感 想像以上に熱くなれる92ps
ー充分にホットハッチしている「Si」
ー望外な運転体験 自動車史のスイートスポット
ー現代人にとって理想的なデトックス・モデル
ーホンダCR-X SiとシビックSi 2台のスペック
快活な走りと一体感 想像以上に熱くなれる92ps
ホンダCR-X Siの才能が如実に現れているのが、快活な走りと一体感。レスポンシブなステアリングに加えて、12バルブの1.5L 4気筒エンジンはエネルギッシュ。フロントノーズを僅かに上へ向けながら、小さなクーペを瞬間的に加速させる。
北米仕様の最高出力は92psしかないが、想像以上に熱くなれる。SOHCエンジンは、威嚇するスズメバチのようにビューンと唸りながら回る。安楽に速さを引き出せるわけではない。目一杯引っ張ることで、巨大な楽しさが湧いてくる。
穏やかな気持ちでも、運転しやすい。人間工学に優れ、視界は良好。ステアリングホイールの重さも理想的。ダッシュボードに並ぶ、車載機能の操作系は扱いやすい。シビックの優れた部分は、しっかり受け継いでいる。
今回の個体は、アメリカン・ホンダ・モーター社が有するコレクションホールの展示車ということで、オプションも充実。エアコンだけでなく、ステレオにはグラフィックイコライザーも備わる。低音と高音を、目一杯上げた読者もいらっしゃるだろう。
初代CR-Xの成功を受け、92psの1.5Lエンジンはハッチバックの3代目シビックにも投入された。これより前、2代目にもスポーティな仕様が存在していた。Sというグレードで、排気ガス規制に準拠しつつ、ツインキャブレターで僅かにパワーアップしていた。
3代目では、燃料インジェクションへアップデート。Siというグレード名は、ここから来ている。
充分にホットハッチしている「Si」
レッドが眩しいシビック Siは、1986年式。ささやかなフロントスカートとテールゲート・スポイラー、ディスクデザインのホイールカバー、ワイドなテールライト・クラスターが装備され、通常より若々しい雰囲気に仕上がっている。
またSiでは、リアサスペンションにアンチロールバーを追加。車内には、スポーツシートが組まれている。
ボンネットを開くと、CR-X Siと同じ4気筒エンジンが姿を表す。それだけでなく、エンジンルームはまるっきり同じ。基本的にはフロントピラーより前の設計は共通で、ヘッドライト回りの処理程度しか、見た目上の違いはない。
21世紀に入って、このフォルムはブレッドバンと呼ばれるようになった。ルーフラインが真っすぐ伸び、テールゲートは垂直に切り立っている。もう少し全長が長ければ、2ドアのステーションワゴンに見えなくもない。グラスエリアも広い。
乗り比べると、CR-X Siより重心は高め。プラスティック製ボディパネルも得ていないため、動きは若干スローに感じる。とはいえ、充分にホットハッチしている。
シフトレバーは軽く倒せ、ストロークが短い。クラッチペダルもスコスコ踏める。実用的で経済的でありながら、思い切り走りがいがある。この組み合わせが、別格の面白さを生んでいる。