最新 BMW M5へ試乗 2024年へ再解釈されたスーパーサルーン! 727psのプラグインHV

公開 : 2024.11.09 19:05

素晴らしい運転姿勢 内装の上質感は先代が上

ドアを開き腰を下ろすと、先代と同様に、素晴らしい運転姿勢に落ち着ける。着座位置は高めだが、スポーツシートの座り心地も良い。

車内の雰囲気や環境は、通常の5シリーズと大きくは違わない。前席側の空間は充分なゆとりがあるが、内装の上質感という点では、F90型の方が優れていたように思う。

BMW M5(欧州仕様)
BMW M5(欧州仕様)

ダッシュボード上でカーブを描くワイドなモニターパネルは、印象的。実際に押せるハードスイッチのタッチは、そうでもない。

センターコンソールには、ドライブモードとハイブリッドモード、Mモード、スタビリティ・コントロール用のスイッチが用意された。タッチモニターのメニューを掘り下げる必要は減っている。

後席側の空間は、見た目ほど広くない。特に、足もと回りで。リアの荷室も、不思議なほど限られている。

シートベルトを閉めて、スタートボタンをひと押し。V8エンジンは始動せず、準備が整ったことを知らせるサウンドが鳴る。シフトセレクターをDに入れて、アクセルペダルを踏めば、デフォルトでは駆動用モーターがM5を発進させる。

圧巻の動力性能 楽しさを叶えるシャシー技術

市街地では至って静か。V8エンジンのスーパーサルーンだと考えると、不思議に思えるほど。

ハイブリッドモードをダイナミックへ切り替えれば、エンジンは常時回転。駆動用バッテリーの充電量も、高く保たれる。静止からの加速は信じられないほど鋭いが、中間加速はそれ以上。8速ATのギアや回転数を問わず、猛烈に速度を高めていく。

BMW M5(欧州仕様)
BMW M5(欧州仕様)

5速に入れっぱなしで、101.8kg-mもの最大トルクの波に乗ることも可能。マニュアルモートでシフトダウンし、7200rpmまで引っ張ることも可能。交通量の少ない郊外の公道でも、ある程度エンジンの個性を楽しめる。

ただし、溢れんばかりの動力性能はアウトバーンが前提。いとも簡単に100km/hを超え、英国や日本では制限されたように感じるはず。安定感も半端ない。

サウンドは、若干デジタル的に補強されるが、そこまで人工的ではない。筆者は、いい音に聞こえた。

乗り心地は快適。サスペンションは硬めながら、減衰特性に優れ、最もハードなモードでも我慢を強いるほどではない。傷んだ英国の路面にも、見事に対応するだろう。

高度なシャシー技術が、運転の楽しさも叶えている。アダプティブダンパーが姿勢変化を引き締め、前が285、後ろが295の幅を持つタイヤが、強力なグリップ力を発揮する。

スタビリティ・コントロールをMダイナミック・モードにすると、コーナリングは一層面白い。危険にならない範囲で、親しみやすい自由度が開放される。滑らかなアスファルトでは、車重もほぼ忘れさせてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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