ミニ・クーパー:英国車のアイコン ランドローバー・レンジローバー:醸し出す特別感 誇らしきUK製モデル(1)

公開 : 2024.11.16 09:45

自動車大国の1つといえる英国 2023年の自動車産業の売上高は、930億ポンド(約1兆8042億円) レンジローバーからカローラまで この土地で生産される誇らしい5台を、英編集部が再確認

英国は自動車大国 誇るべきモデルたち

最近は悪いニュースしか聞こえてこない、とお嘆きの読者は多いかもしれない。国内政治に誠実さは欠け、世界は武力的な駆け引きばかり。だがクルマの話題なら、そんなことはない。単に気分を晴らせる、というだけでもない。

政府機関の発表によると、英国の自動車産業の売上高は、2022年は780億ポンド(約1兆5132億円)だった。だが、2023年は930億ポンド(約1兆8042億円)へ確実に成長している。英国は、今でも自動車大国だといっていい。

手前からミニ・クーパー S、トヨタ・カローラ・ツーリング・スポーツ1.8、ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク P300e、ヴォグゾール(英国オペル)・コンボ・ライフ・エレクトリック、日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー
手前からミニ・クーパー S、トヨタカローラ・ツーリング・スポーツ1.8、ランドローバーレンジローバー・イヴォーク P300e、ヴォグゾール(英国オペル)・コンボ・ライフ・エレクトリック、日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー

現在の製造業で、これ以上の経済規模を有するのは食品産業のみ。この土地では、誇るべきモデルが沢山生産されているのだ。今回は、その中でも身近な存在の5台を再確認してみたいと思う。

ミニ・クーパー:英国車のアイコンの1つ

英国車のアイコンの1つといえるのが、ハッチバックのミニ。最新世代は、内燃エンジンと電気モーターの2種体制になり、滑らかなスタイリングをまとう。今回お借りしたアクアマリン・ブルーのクーパー Sは、その前者。5台の中でも、ひときわ目を引く。

丸っこく小さなボディのフロントに、大きく瞳を開いたようなヘッドライト。運転すれば、見た目と同じくらい楽しい。多くのユーザーを魅了してきた理由を、端々から感じられる。

手前からミニ・クーパー Sと、ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク P300e
手前からミニ・クーパー Sと、ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク P300e

BMWが1997年のフランクフルト・モーターショーで復活させたミニの特徴も、しっかり現代へ受け継がれている。小さくてもプレミアム。コンパクトカーでも上級指向が成り立つことを、ミニは証明してきた。

今回の試乗場所に選んだのは、グレートブリテン島中部、ウォリックシャー州ゲイドン。2.0Lガソリンターボ・エンジンは軽快に回り、交通量の少ない郊外の道を爽快に駆け抜けられる。

ステアリングは、例によってクイック。動力性能に不足はなく、身のこなしは機敏。これも、ミニが人気な理由の1つだろう。

パーソナライゼーションの幅広さも、BMWが刷新させた時から変わらない強みといえる。ボディカラーだけでなく、自分好みのインテリアへ仕上げる喜びがある。成功の方程式は、最初から完成していた。

3分毎に2台を作れるカウリー工場

同時に、ミニは進化も続けている。電動化への1歩を踏み出したのは、2010年。バッテリーEVのミニ Eが限定生産されている。洗練された、ミニ・エレクトリックの発売は2020年。バッテリーEVの先駆者的存在だった。 

今回のクーパー Sは、ロンドンの西、オックスフォードシャー州のカウリー工場で作られている。2025年には、バッテリーEVのクーパー EとSEも同じ場所で生産が始まる。

ミニ・クーパー S(英国仕様)
ミニ・クーパー S(英国仕様)

この工場は、2023年に生産施設として110周年を迎えた。その年には、英国の年間の量産車で20%以上に当たる、18万5000台がラインオフしたという。1日当たり、約1000台の生産能力がある。3分毎に2台を作れる計算だ。

一貫して魅力的なデザインが与えられ、小さなプレミアムカーとして20年以上も市場を席巻してきたミニ。英国産業に対する継続的な貢献度は、相当なものといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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