日産キャシュカイ:市場へ巨大な影響 トヨタ・カローラ:ファミリーカーの伝説 ヴォグゾール・コンボ:積載量マックス 誇らしきUK製モデル(2)

公開 : 2024.11.16 09:46

自動車大国の1つといえる英国 2023年の自動車産業の売上高は、930億ポンド(約1兆8042億円) レンジローバーからカローラまで この土地で生産される誇らしい5台を、英編集部が再確認

日産キャシュカイ:市場に巨大な影響を与えたSUV

英国で大ヒット中なのが、日産キャシュカイ(旧デュアリス)。欧州仕様の生産拠点は、グレートブリテン島にある。SUV人気へ火を付けたこの1台と、ひと回り小さいジュークは、北東部のサンダーランド工場で作られている。

その工場での2023年の生産数は、32万5218台。これにはバッテリーEVのリーフも含まれていたが、日産はモデルチェンジへ向けて準備中。現行型は、2024年初頭に生産が終了している。

日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー(英国仕様)
日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー(英国仕様)

2006年に初代キャシュカイが登場して以来、日産のクロスオーバーたちは、英国市場に巨大な影響を与えた。「現象」と表現してもいいほど。それ以来、この土地には背の高いモデルが溢れている。

3代目キャシュカイの登場は、2021年。パワートレインは、シリーズ式ハイブリッドのe-パワー。内燃エンジンは発電に徹し、駆動用モーターがスムーズに走らせる。

日産は、長年に渡って市場のニーズへ向き合ってきた。現代のユーザーの期待へ応えるべく、充電の手間を省きつつ、バッテリーEVのようにシームレスな運転体験を叶えている。燃費に優れ、CO2の排出量も抑えている。

2023年の英国では販売数のトップ

操縦性も素晴らしい。カーブを積極的に走らせても、ボディロールは限定的。市街地での通勤でも、郊外の幹線道路を飛ばしても、印象的なほど乗り心地は落ち着いている。直感的ですぐに親近感が湧き、信頼できる。

高品質なインテリアも魅力。内装はアルカンターラで仕立てられ、車内空間にはゆとりがある。ファミリーSUVのお手本の1台といっても、過言ではない。

日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー(英国仕様)
日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー(英国仕様)

1度乗れば、初代から人気を保ってきた理由を理解できる。約20年間で築いてきた、信頼性の定評もある。それでいて、ありきたりな感じもなくモダン。日産のマジックだ。

実際、キャシュカイとジュークは、2023年の英国で販売数トップ5にランクインしている。キャシュカイは見事に1位。4万2704台が売れたという。新しいリーフも加わる予定のサンダーランド工場の好調は、今後も続くだろう。

トヨタカローラ:ファミリーカーのレジェンド

トヨタ・カローラ・ツーリング以上に、実直で楽しいクルマはあるだろうか。実用性ではワンボックスカーに及ばなくても、総合力で右に出る例はないかもしれない。

使い勝手が良く、維持費は抑えられ、大人5名と沢山の荷物を運べる。むしろ優等生すぎる個性が、マイナスに働いている部分もある。食わず嫌いせず、一度味わってみて欲しい。驚くほど、運転が楽しいとわかるはず。

トヨタ・カローラ・ツーリング・スポーツ1.8(英国仕様)
トヨタ・カローラ・ツーリング・スポーツ1.8(英国仕様)

今回用意したのは、1.8Lハイブリッド。2.0Lも選べるが、お手頃で高効率で、充分にパワフルだ。ステアリングホイールは適度に重く、反応は軽快だが神経質ではない。グリップ力に不足はなく、乗り心地も良い。

すべてが高次元でまとまり、実力を引き出しやすい。積極的に走らせれば、充足感も得られる。カーブでカローラ・ツーリングに追い込まれるとは、先行車のドライバーは想像していないかも。

信頼性は高く、正規ディーラーで整備を受けていれば、10年間の保証も付く。この実力は、英国の警察も認めている。グレートブリテン島では、カローラ・ツーリングのパトカーと出くわすことが多い。ウーバーのドライバーからも支持は厚いが。

カローラ・シリーズは、1997年に世界最多の累計販売数を達成。現行型は11代目だ。ファミリーカーのレジェンドでもある。

こんな名車の欧州仕様は、グレートブリテン島中部のバーナストン工場で作られている。ハッチバックも含めると、2023年の生産数は12万1871台。西部のディーサイドにはエンジン工場もあり、英国でのトヨタの両輪をなしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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