【トヨタとNTTが共同取り組みに合意】 『モビリティ×AI・通信』で交通事故ゼロ社会の実現を

公開 : 2024.11.01 11:15  更新 : 2024.11.01 20:22

10月31日、トヨタ自動車とNTTは交通事故ゼロ社会の実現に向けて、モビリティ分野におけるAI・通信の共同取り組みに合意しました。その概要を解説します。

より賢く、より安全に、よりサステナブルに

10月31日、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)と日本電信電話株式会社(以下、NTT)は交通事故ゼロ社会の実現に向けて、モビリティ分野におけるAI・通信の共同取り組みに合意した。

クルマの未来を変えていくためには、まず『より賢く、より安全に』が重要なポイントになる。それには、
・クルマ/ドライバー/インフラの情報を絶えず収集しAI学習に活用する
・先読みした運転支援による危機回避
・シーンに応じた安心安全で自由な移動
といったことが求められる。

トヨタとNTTが交通事故ゼロ社会の実現に向けて、モビリティ分野におけるAI・通信の共同取り組みに合意。
トヨタとNTTが交通事故ゼロ社会の実現に向けて、モビリティ分野におけるAI・通信の共同取り組みに合意。    トヨタ自動車

さらに、『よりサステナブルに』も重要だ。そのためには、
・エネルギー効率の良いデータ収集/学習
・分散型DC(データセンター)で再生可能エネルギーの地産地消
・低消費電力のネットワークとAI基盤
も重要になってくる。

トヨタとNTTは、これまでも2017年にはコネクテッドカーのデータ処理の基盤作り、2020年にはクルマから街へ範囲を広げたスマートシティ(ウーブンシティ)の開発などで協業を行ってきた。

両社はこれまでの協業を通じて、技術や産業の発展を通じた社会貢献や、人中心の考え方、日本を起点としたグローバルへの貢献といった共通の価値観を有していることを確認してきた。今回、安全と自由が調和した豊かなモビリティ社会の実現に向けた第一歩としての『交通事故ゼロ社会』を目指し、協業をさらに深化させていく。

事故率の減少はサチュレート傾向

2013年には約63万件あった交通事故発生件数は、2022年には30万件までに減少した。とはいえ、最近では事故率の減少はサチュレート傾向にあり、また追突/出会いがしら/右左折といった事故発生パターンの割合はほとんど変わっていない。

交通事故ゼロ社会の実現には、
・死角のある交差点における出会いがしらの接触防止など『三位一体型インフラ協調』
・大量の走行データに基づき、AI自らが学習するデータドリブンな『高度運転支援/将来的な自動運転システムの開発』
・事故に繋がりうる危険行動を避けることを促す『AIエージェントの開発』
といった取り組みから、クルマ側でのデータドリブンによる運転支援技術の高度化や、将来的な自動運転技術の開発が進められている。だが、ヒト、モビリティ、インフラが『三位一体』で絶えず繋がるインフラ協調型の取り組みも必要となる。

ヒト、モビリティ、インフラを繋げ、交通事故のないサステナブルなモビリティ社会の実現を目指す。
ヒト、モビリティ、インフラを繋げ、交通事故のないサステナブルなモビリティ社会の実現を目指す。    トヨタ自動車

技術の開発とインフラ協調型の取り組み。双方を実現するために、トヨタは安全安心を第一優先としたSDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)の開発を進めている。そしてSDVの進化と並行して、高速、高品質な通信基盤と、膨大な情報を収集し賢く処理するAI基盤や計算基盤といったインフラの構築がより重要になる。

そこで、通信に強みを持つNTTとトヨタは、切れ目のない通信基盤と、大量のデータを賢く処理するAI基盤や計算基盤を組み合わせた『モビリティAI基盤』を共同で構築する。それにより、ヒト、モビリティ、インフラを繋げ、交通事故のない安全安心でサステナブルなモビリティ社会の実現を目指していく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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