ちゃんと「サソリ」してる! アバルト600eへ試乗 プラットフォームから違う 新モーターで240ps

公開 : 2024.11.03 19:05

フィアット600eを増強したアバルト版登場! プラットフォームから改良 走りを重視した雰囲気の車内 線形的な240psのパワーデリバリー ワインディングが得意分野 英編集部が評価

プラットフォームから改良したアバルト

昨今のクロスオーバー人気は、流石のアバルトも無視できないらしい。ブランドイメージへ合うよう性能を引き上げた、600eが登場した。

アルファ・ロメオジュニアやMG 4 Xパワーなど、最近の電動クロスオーバーは走りを売りにする例が少なくない。驚くほど懐の深い動的能力を備えつつ、コスパの良さや実用性の高さなど、それぞれの強みも与えられている。

アバルト600e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト600e ツーリスモ(英国仕様)

これらに対抗するため、アバルトはプラットフォームから手を加えた。フロントの駆動用モーターは、強力な専用品。さらに、ジェイテクト社製の機械式リミテッドスリップ・デフと、特注のミシュラン・タイヤも組まれる。

当初のグレードは、ツーリスモとスコーピオニッシマの2種類。前者には240psのモーターと、50.0kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は333kmがうたわれる。後者は限定1949台の記念仕様。ジュニア・ヴェローチェと同じ、279psのユニットが載る。

主に試乗したのは、限定ではないツーリスモ。アバルト500eのように、エンジン音を模したサウンドジェネレーターは共通だ。

ボディサイズは、全長4171mm、全幅1779mm、全高1523mm。フィアット600eをベースに、フロントのスポイラーとリアのバンパー、ウイングなど、スポーティなエアロキットで差別化される。アルミホイールは20インチと大きい。

ボディ塗装には、専用色を設定。もちろん、サソリのマークが各所を飾る。少しコミカルでアグレッシブな、アバルトらしさが演出されている。チューニングされた600eへ見えることは、間違いない。

走りを重視した雰囲気の車内 差別化は限定的

プラットフォームは、プレフォe-CMP。ステランティス・グループのe-CMPの進化版で、左右のタイヤの間隔、トレッドは前で30mm、後ろで25mm広い。駆動用バッテリーの冷却システムも、専用設定とのこと。

サスペンションは、前がストラット式、リアがトーションビーム式で、ジュニアと同じ構成。ただし、アンチロールバーは140%強化されている。車高はフィアット版より25mm低い。

アバルト600e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト600e ツーリスモ(英国仕様)

車内には、走りを重視した雰囲気が滲む。ペダルはアルミ製で、ステアリングホイールやスポーツシートには、スウェードが用いられる。黄色の差し色が効果的だ。限定のスコーピオニッシマには、専用スポーツシートが組まれる。

ウインカーレバーなど、それ以外は基本的にフィアット版と同じ。バッテリーがフロア部分に敷かれ、着座位置は高め。シートの調整域は広いが、足もとの空間は限定的。価格を踏まえると、もう少し差別化されても良かったかもしれない。

ダッシュボード中央には、10.25インチのタッチモニター。運転席の正面には、7.0インチのメーター用モニターが据えられる。グラフィックは、アバルト仕様になる。

インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。チャットGPTを利用した、音声アシスタントも実装される。

エアコンの操作パネルも通常の600eと同じだが、実際に押せるハードスイッチで、運転中に目線をそらす必要性は低い。荷室容量は360L。このクラスでは平均より少し狭い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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