魅力的なV8ツインターボの味わい ポルシェ・パナメーラ GTSへ試乗 でも何かが不足?

公開 : 2024.11.15 19:05

ポルシェが運転体験を追求した仕様だと説明するGTS 専用のエアサスとエグゾースト 魅力的なV8ツインターボの味わい 素晴らしいシャシーバランス 何かが足りないと英編集部は評価

GTSは純粋に運転体験を追求した仕様

ポルシェは、パナメーラ GTSを純粋に運転体験を追求した仕様だと説明する。911のGTSなど以上に、特別なポジションにあるという。確かに、ハイブリッド・システムを搭載しない、V8エンジンを積んだパナメーラはこれが唯一だ。

強力で高速な、パナメーラ・ターボ E-ハイブリッドとの価格差は小さい。ハイブリッドだからエネルギー効率は良く、より魅力的に見えてしまうかもしれないが、GTSは同社の主張通りの強みを宿すといえる。

ポルシェ・パナメーラ GTS(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ GTS(欧州仕様)

サスペンションは、アダプティブダンパーとエアスプリングという構成。車高は通常のパナメーラより10mm低く、専用チューニングが与えられている。アンチロールバーの硬さは2倍。パワーステアリングも、独自の特性が与えられている。

パナメーラ GTSは四輪駆動。リアデフには、トルクベクタリング機能が実装される。アクティブ・スポーツエグゾーストも専用設計。カーボンセラミック・ブレーキとアクティブ後輪操舵システムは、オプション設定だ。

スタイリングは、スポーツデザイン・ボディキットで差別化。ブラックのトリムとエンブレムで、各部が引き締められる。アルミホイールは、鍛造で21インチのセンターロック。ちょっと違うポルシェだと、足もとから主張する。

インテリアは、スポーツシートとひと回り小径なGTステアリングホイールを獲得。スウェード調のレーステックス・クロスで仕立てられる。

魅力的なV8ツインターボの味わい

4.0L V8ツインターボエンジンの最高出力は、501ps。最大トルクは67.2kg-m。これで充分だと感じるかどうかは、スーパーサルーンの進化に対する受け止め方次第だろう。

メルセデス・ベンツAMG GT 4ドアクーペやBMW M5などは、遥かにパワフルだが、電動化技術が載り車重は遥かに重い。筆者は、これまでの体験を鑑みると、GTSの仕様に肯定的ではある。

ポルシェ・パナメーラ GTS(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ GTS(欧州仕様)

ただしドライバーズカーとして突き詰めるなら、車重が2065kgもある四輪駆動の大きなポルシェが、最適解とはいえないかもしれない。同時に、現在の上級スーパーサルーン市場で、純粋主義者の嗜好へ最も近いといえることも事実。それが2024年だ。

ステアリングホイールを握り、アクセルペダルを蹴飛ばせば、パナメーラ GTSは間違いなく速い。ターボS E-ハイブリッドのように、登り勾配のきつい坂や、ヘアピンカーブからの加速で、背中がシートへ押し付けられることはないとしても。

気持ちよく吹け上がる、V8ツインターボの味わいは魅力的。専用のエグゾーストシステムのおかげで、ボリュームが大きいだけでなく、響きは遥かにリアルだ。

車内に仕込まれたコンピューターとスピーカーではなく、実際にエンジンやテールパイプから、壮大なサウンドが放たれる。比べるなら、BMW M5より聴き応えがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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