日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業

公開 : 2024.11.01 18:25

日産は新型の「Aセグメント」EVの開発で、仏ルノーの子会社アンペアと協議を開始した。ルノー・トゥインゴの兄弟車となる見込みだ。

ルノートゥインゴの兄弟車に?

日産は欧州市場向けの小型の電気自動車(EV)を新たに開発する構えだ。ルノーと部品を共有し、コスト削減と開発期間の短縮を図る。

日産は、アライアンスパートナーであるルノーのEV子会社アンペアと、小型の「Aセグメント」EVの開発について協議を開始した。次期トゥインゴと同じAmprスモール・プラットフォームをベースとする。

協業の主な理由は、プラットフォームの共有がもたらすコスト削減と開発スピードアップである。
協業の主な理由は、プラットフォームの共有がもたらすコスト削減と開発スピードアップである。

内田誠CEOは、フランス北部にあるルノーのEV生産拠点エレクトリシティで行われたメディア向けのスピーチの中で、パートナーから供給されるプラットフォームを使って、10年以上ぶりに欧州のシティカー(小型車)セグメントに参入する計画があることを明らかにした。

すでに、Amprスモール・プラットフォームによるマイクラの後継EVの投入準備が進められている。このモデルは2025年の発売に向けて「軌道に乗っている」と内田CEOは述べ、2番目のモデルで両社の技術協力の「前向きな勢い」を維持したいと付け加えた。

この新モデルのタイプや登場時期、予定価格などの詳細は明かさなかったが、アンペアと協力する主な理由は、既存のプラットフォームを使用することで開発コストとスケジュールを削減できることだと強調した。

「このパートナーシップを通じて、欧州市場のカバレッジを最適化することを目指しています。アンペアとの提携により、非常に短い開発期間を目標としており、市場にとって最適なタイミングでこの新型車を提供することができます」

トゥインゴは構想から社内での正式承認までわずか9週間で完了し、そこから2年以内の生産開始を目指している。開発サイクルの速い中国の競合メーカーに対抗するためだ。

ルノーはトゥインゴの目標価格を1万7000ポンド(約330万円)以下としており、効率は10km/kWh、製品ライフサイクル全体での二酸化炭素排出量はガソリン車より75%少ないという。

内田CEOは「未来のドライバーのために、お客様にとっても、わたし達にとっても、そしてアンペアにとっても良いスマートカーを目指しています。このクルマは、高い利便性と高度な機能を、小型で魅力的かつ手頃な価格で提供するものです」と語った。

また、アンペアとの協議が初期段階にあることを認めつつも、この動きは「異なる車両セグメントにおける協力関係の拡大を意味する」ものであり、「アライアンスの強みと、お客様のために革新したいという我々の共通の願いを示している」とした。

日産は10年以上前にピクソを廃止して以来、欧州ではマイクラより小型のモデルを販売しておらず、その間にクロスオーバーとEVへの注力を強めてきた。

来年には次期型リーフを欧州に投入し、2030年までに主力のジュークキャシュカイに代わる2車種のEVを追加する予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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