【いいクルマだったのに!】MR-S、プログレ、iQにマークXジオ!一代限りで終わってしまった名車たち:トヨタ編

公開 : 2024.11.05 11:45

トヨタマークXジオ(2007~2013年)

車名にマークXが使われているものの、FR(後輪駆動車)ベースのマークX(セダン)とは異なり、FF用の新しいプラットフォームを使った(4WD車もある)ステーションワゴン型の乗用車である。

ステーションワゴン型だが、トヨタでは新コンセプトを謳う。2005年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカー『FSC』(フレキシブル・サルーン・コンセプト)を市販化したものなのだ。確かにステーションワゴンにしては背が高いし、ミニバンにしては背が低く、全高の1550mm(FF車)は多くの立体駐車場への入庫を可能にすることを意味する。

トヨタ・マークXジオ(2007~2013年)
トヨタ・マークXジオ(2007~2013年)    トヨタ

また、室内は独立した4つのシートに3列目シートをプラスした『4+Free』コンセプトを採用しており、『セダンモード』、『ワゴンモード』、『ミニバンモード』の3つのアレンジを可能にした。ちなみに2列目が3人掛けの仕様も存在した。

メカニズムはオーリスやブレイドのものを多く使う。パワートレインは2.4L直4+CVTと3.5LV6+6速ATで、前者には4WDも用意された。

マークXジオのコンセプトは悪くなかったが、この時期のミニバン/ステーションワゴンの販売が低迷していたことや、3列目シートが小さすぎて大人が乗るには狭すぎた点が、一代で終わってしまった要因であろう。コンセプト自体はとても良いものだったので、これも非常に惜しい1台だ。

トヨタ・ヴェロッサ(2001~2004年)

ヴェロッサは9代目マークIIの姉妹車にあたる後輪駆動車(4WD車もあり)。チェイサーとクレスタの後継車としての意味合いも持つが、どことなくアルファ・ロメオを思わせるイタリアン(風?)デザインをエクステリアに採用した。

「サウンドまでチューニングした」と謳うなど、チェイサーともクレスタとも異なるコンセプトで誕生。事実、エンジンはマークIIと同じ直6(2.5L/2.0L)のラインナップだが、ヴェロッサ独自の排気系チューニングが施されていた。

トヨタ・ヴェロッサ(2001~2004年)
トヨタ・ヴェロッサ(2001~2004年)    トヨタ

注目したいのは2002年に販売した限定車『ヴェロッサ・スペチアーレ』のVR25グレード。これはヤマハがチューニングを施した300ps仕様の2.5Lエンジン(1JZ-GTE型)と、ヤマハ・チューンのサスペンションを奢ったモデルで、ヴェロッサのイメージリーダー的な存在だった。

もともとマークII、チェイサー、クレスタの3きょうだいは、販売チャネルごとに仕立てを変えていた。ヴェロッサは一部を除きビスタ店での専売となっており、そうした意味ではクレスタの後継車となる。

総販売台数は4年間で約2万4000台(編集部調べ)とセールス的には成功したとは言い難いが、個人的には、高級パーソナルセダンとして新たなコンセプトを提案した心意気を買いたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    木原寛明

    Hiroaki Kihara

    1965年生まれ。玉川大学では体育会ノリの自動車工学研究部に所属し、まだ未舗装だった峠道を走りまくった。最初の愛車(本当は父のもの)は2代目プレリュード(5MT)。次がフルチューンのランサーEXターボ。卒業してレースの世界へと足を踏み入れたものの、フォーミュラまで乗って都合3年で挫折。26歳で自動車雑誌の編集部の門を叩き、紙時代の『AUTOCAR JAPAN』を経て、気が付けばこの業界に30年以上。そろそろオーバーホールが必要なお年頃ですが頑張ります!
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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