【Gクラス史上初のBEV】メルセデス・ベンツの開発担当者がエンジン車との違いを解説!

公開 : 2024.11.04 11:45

BEVには出来ないことはない?

オフロード走行時には、Gクラスの価値を高めるべく、フル電動化を活用した新機能が与えられている。その場での360度ターンを可能とする『Gターン』、後輪中心の旋回とすることで小回り性を高める『Gステアリング』、デフロック機能を4輪制御で可能とした『仮想ディファレンシャルロック』、強力な駆動力を得るための4輪独立のトランスミッションなどで、Gクラスの名に恥じないBEVオフローダーとして磨き上げられている。

最後に、メンテルさんに少し意地悪な質問をぶつけてみた。それは「Gクラスのエンジン車と比較して、BEVには出来ないことはないのか」というもの。

メディア向けの発表会では、登場時にGターンをその場で披露。
メディア向けの発表会では、登場時にGターンをその場で披露。    平井大介

するとメンテルさんは、「答えはノーです」とにやり。むしろBEV化は、Gクラスの可能性を高めたとする。

「エンジン車のG450とBEVのG580で同じようにオフロードコースを駆け抜け、山頂まで到達することが出来ます。しかし運転のしやすさでいえば、断然、BEVのG580のほうが上です。エンジン車のメカニカルな機能は、走行中、必要な時に操作することが求められますが、BEVならば、そのほとんどをクルマ自身でコントロールしてくれます。また多くのシーンでは、オンロード走行が占めるので、電動パワートレインによる静粛性や走りやすさは、多くのユーザーにメリットを生むでしょう」と締めくくった。

見た目がそっくりなBEVのGクラスは、『G580 with EQテクノロジー』の名が示すように、ガソリン車のポジションを受け継ぐものとなるようだ。メンテルさんの解説を聞き、日常的にGクラスを愛用する多くのユーザーにとっては、電動化による悪路走行のしやすさや乗員の快適性能向上など、確かにメリットの方が大きく思えた。骨太なオフローダーと先進のBEV性能の融合が、どのような乗り味を提供してくれるのか、今からの楽しみだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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