【新フラッグシップCX-80に初試乗】ラージ商品群はマツダの将来を左右する大きな挑戦!

公開 : 2024.11.05 07:05

ライバルに対しどう個性を出していくか

ということで足まわりを中心にまだ課題もありそうだが、全てが新開発となるラージ商品群、初期モデルとしては十分なレベルまで達しているように思えた。

特に、我々の試乗車ではなかったが、新色のアーティザンレッドプレミアムメタリック(濃い赤色)とメルティングカッパーメタリック(薄い銅色)のセンスが抜群で、撮影の許可が出ていた神戸旧居留地の高級感ある街中において、どのボディカラーも全く見劣りしないデザインに感心した。

CX-80の高級感のあるデザインは、神戸の旧居留地の街並みに置いても馴染む。
CX-80の高級感のあるデザインは、神戸の旧居留地の街並みに置いても馴染む。    平井大介

ではこれらを今後、どのように『高級車』として販売していくかが鍵になる。CX-80は、同じく3列シートを持つCX-8の実質的な後継車だ。CX-5が継続生産ならCX-8も……と思うところで、実際にマツダ側も残したかったが、規制対応などを考えると難しかったそう。

マツダの国内ラインナップの中でフラッグシップとなるCX-80だが、CX-5やCX-8からの乗り換えが多く、今のところは半数がCX-8からとなるそうだ。これまでCX-5の上クラスがなかったから、需要としてはあったのだろう。

しかし高級車ビジネスはそう簡単ではない。販売の現場も含めて顧客満足度をいかにあげていくか、そして実質的なライバルであるレクサスやドイツ車勢と比較検討されたときに、どう訴求していくのか。取材している限り、近年のマツダらしくプロダクトアウトが先行しているように感じている。もちろんこれはいい意味で書いているが、今後は今まで求められなかった販売戦略や、マーケットイン的なモデル展開も必要とされるだろう。

ライバルがひしめき合う中で、どう個性を出していくか。そこが恐らく運転する楽しさなのだろうが、作り手側にまだ迷いがあるように感じた。だからか、いつものように「これはいいクルマですね!」とストレートに言えない自分がいる。

最初のほうに『マツダの将来を左右する大きな挑戦』と書いた。挑戦を応援したい……とは綺麗事すぎるので、少なくともその挑戦を取材者として、今後もしっかり追っていきたい。もちろん、そのストーリーがハッピーエンドであることを願っている。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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