611psでサーキットへ最適化! メルセデスAMG GT 63「プロ」へ試乗 圧巻のパフォーマンス

公開 : 2024.11.17 19:05

圧巻のパフォーマンス 感心するほどの落ち着き

今回はサーキットでの試乗に限られ、公道での印象は確かめられていない。少なくともコース上では、シャシーは反応が機敏でありながら、安定性も秀抜。速いだけでなく、挙動を予想しやすく魅力的で親しみやすい。

ドライビングポジションは理想的。調整域は広く、座面は低く、シートはしっかり体を支えてくれる。

メルセデスAMG GT 63 プロ 4マティック+(欧州仕様)
メルセデスAMG GT 63 プロ 4マティック+(欧州仕様)

もちろん、動力性能に揺るぎなし。5500-6500rpmで到達する最高出力もさることながら、2350-5000rpmで繰り出される最大トルクによって、圧巻のパフォーマンスを実現している。

GT 63 4マティック+より、遥かに速いことは間違いない。レスポンシブで、どのギアでも鋭い加速を披露する。高負荷時には、テールパイプから豪快なエグゾーストノートも放たれる。アクセルオフでのオーバーラン時には、破裂音も入り混じる。

ステアリングホイールの重み付けや、正確性も素晴らしい。シャープに反応し、コミュニケーションも取りやすい。これは、公道でも確実な強みになるはず。

サスペンションには、電子制御されるAMGアクティブライド・コントロールが採用され、見事な姿勢制御を実現していた。旋回時の遠心力や、縁石に乗り上げた時の上下動を巧みに吸収。全開で飛ばしても、感心するほどの落ち着きにあった。

偉業といえる身のこなし 出色の運転体験

ドライブモードをレースへ切り替えると、4マティック+は後輪主導へ変化。不安定な状況へ追い込まれることなく、トラクションを活かし、コーナリングスピードやスタンスを追求していける。車重を考えると、偉業といえる身のこなしだろう。

カーボンセラミック・ブレーキは、フェード知らず。サーキットを長時間周回させたものの、平然と制動力を生み出し続けていた。

メルセデスAMG GT 63 プロ 4マティック+(欧州仕様)
メルセデスAMG GT 63 プロ 4マティック+(欧州仕様)

かくして、GT 63 プロは卓越した敏捷性と操縦性を獲得し、出色の運転体験を実現している。ドライバーが抱ける自身も、相当なものだ。

AMGによれば、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを、軽量だった先代のAMG GT-Rより高速で周回できるらしい。この10年間における進化を表すものだと、同社は主張する。

そのかわり、お値段は少々張る。販売が始まるのは2025年前半からだが、英国では18万5000ポンド(約3589万円)前後になると予想される。

メルセデスAMG GT 63 プロ 4マティック+(欧州仕様)のスペック

英国価格:18万5000ポンド(約3589万円/予想)
全長:4728mm
全幅:1984mm
全高:1354mm
最高速度:317km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:319g/km
車両重量:1875kg
パワートレイン:V型8気筒3982cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:611ps/5500-6500rpm
最大トルク:86.5kg-m/2350-5000rpm
ギアボックス:9速マルチクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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