【ロシア生まれの武骨な四駆】戦場カメラマン・横田徹がラーダ・ニーヴァを愛車にする理由

公開 : 2024.11.10 08:05  更新 : 2024.11.10 17:28

パーツの入手が困難。世界中から探してもらう

横田さんがニーヴァを購入しておよそ1年経った2022年2月下旬、ロシアのウクライナ侵攻が突如として始まった。西側諸国から様々な経済制裁を受けているロシアでは、個人間の郵便物などは行き来できるものの、自動車のパーツなど、メーカーが製造した工業製品を日本に輸出することは固く禁止されている。

この状況はロシア車であるラーダ・ニーヴァのパーツの入手にも大きく影響した。

パーツの取り寄せが難しくなった今、友人に3Dプリンターで制作してもらうことも。
パーツの取り寄せが難しくなった今、友人に3Dプリンターで制作してもらうことも。    加藤久美子

「購入した頃は侵攻前だったので、パーツもロシアから直ですぐに買えましたね。それがだんだんと時間が掛かる様になり、今は入手するのも大変です。ニーヴァは海外でも人気があり、西側諸国で乗っている人も多数存在します。カザフスタンやエストニアにも部品があるようなので、世界中で探してもらっています。

僕のニーヴァは品質が良いとされるドイツ仕様で、かつてはドイツに部品もありました。でも、今はもうなくなりましたね。世界中探してそれでもないから、樹脂部品なら友人に3Dプリンターで作ってもらったりしています」

『3Dプリンターで樹脂部品』というきっかけは、小さな事件だった。横田さんが国道246号線をニーヴァで走行中、アンテナを留める樹脂部品が飛んで行ってしまったのだ。そのパーツがなくなるとアンテナが倒れてしまう。新たに入手するのも大変だ。

「ダメ元でクルマを降りて探しに行ったんですが、なんと! センターラインのところに飛んで行ったパーツが置いてあったんですよ。即座に拾って、もう一度取り付けました。その話を友達にしたら『最高の3Dプリンターを持ってるから作ってあげるよ!』と言って、最高品質の樹脂とプリンターで、最高のパーツを作ってくれました(笑)」

壊れやすいというイメージがあるニーヴァ。実際のトラブルはどう?

ロシアから直接中古車として輸出された車両は、トラブル続出で苦労しているオーナーも多い。横田さんのニーヴァはドイツ仕様で、ガソリンはハイオク指定。品質はかなり良いそうだ。

「僕のニーヴァはすごい優等生ですよ。3年間で3万km走りましたが、そこまで大きなトラブルがないのは珍しいです。ドイツから日本に来たのは2014年ですが、前のオーナーが屋内保管していて距離も少なく、とてもきれいな状態でした。だから多少高かったのですが、その分壊れないし、きれいだし、とても満足しています。お金を出しても入手できないパーツが増える中、最初は多少高めでも、安く買って苦労するよりいいですよね」

ご覧のとおり、荷物もしっかり積め、実用性も十分。
ご覧のとおり、荷物もしっかり積め、実用性も十分。    加藤久美子

横田さんは日頃、どんなことに気を付けてニーヴァを運転しているのだろうか? これからオーナーになりたい人にも参考になる話を伺った。

「寒い国で作られたクルマなので、夏は基本的に乗らないようにしています。真夏の渋滞する高速道路なんて絶対乗ったらだめですね。オーバーヒート必至です。エアコンなんてつけたら、バッテリーが不調になります。
日本の夏は異常ですから、夏場は無理させたらダメですね。

その分、冬はめちゃくちゃ調子いいですよ! 暖房も凄まじく良く効きますし。ウクライナに行ったときも、マイナス40度という極寒の地でも、ニーヴァをはじめとしたロシア車が元気に力強く走り回っていて、これはすごいな、と。日本で除雪してない山に行きましたが、何の問題もなく、岩ゴロゴロの道なき道も平気で走って行きます。車重が軽いというのもあるんでしょうけど、期待通りの悪路走破性を発揮してくれます。夏の暑さにだけは気を付けてあげましょう」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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