なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編

公開 : 2024.11.23 18:25

プリムス:ロードランナー(1968年)

マッスルカーは、パワフルで高価になるにつれて、段々と一般消費者の手の届かないものになっていった。ロードランナーは初心に帰り、ありふれたボディに非常にパワフルなエンジンを搭載するという、基本的な方程式に回帰したモデルであった。手頃な価格のマッスルカーが求められていた時期と重なり、発売初年度にはプリムスの予想をはるかに上回る成功を収めた。

では、プリムスはどうなったのか?

クライスラーのプリムスブランドは2001年に消滅し、モデルは生産中止となるか、クライスラーとしてリブランドされた。

プリムス:ロードランナー(1968年)
プリムス:ロードランナー(1968年)

ローバー:SD1(1976年)

SD1は、ローバーがホンダと提携して技術とコストを共有する前に、単独で真のフラッグシップモデルを作ろうとした最後の試みだった。前衛的なデザインとV8エンジン(オプション)により、ローバーの頂点に君臨し、BMWメルセデス・ベンツの高級セダンと同じ土俵に立った。SD1の仕上がりは素晴らしいものだが、製造品質と信頼性の低さから、しばしば評価を落としてしまっている。

ローバー:SD1(1976年)
ローバー:SD1(1976年)

では、ローバーはどうなったのか?

オースチン・ローバー・グループの一員となり、SD1の後続車としてホンダ・レジェンドの兄弟車である800(写真)を開発した。その後、ローバーは1994年にBMWに売却された。2000年にランドローバーフォードに売却した後、現在のMGローバーを経営コンソーシアムに端金で売却した。しかし、MGローバーは2005年に廃業。2006年、ローバーの名称は約1000万ポンドでBMWからフォードに売却され、フォードは2008年、ランドローバー、ジャガーとともに同ブランドをインドのタタ・モーターズに売却した。

ローバー800
ローバー800

サーブ:99(1968年)

99はサーブの歴史における新たな章の幕開けとなった。スウェーデンのサーブは、以前の92に影響されたデザインを捨て、曲線的なフロントガラスを特徴とする、より現代的な外観を採用した。また、トライアンフから供給された4気筒エンジンは、96のDKW由来の2ストロークエンジンを歴史の教科書に追いやった。

1978年のターボは、99の最も有名な進化形であり、それ以降の高性能車の道を切り開いた。

では、サーブはどうなったのか?

サーブ:99(1968年)
サーブ:99(1968年)

サーブは2000年にゼネラルモーターズに完全買収された。次いで2010年にスパイカーに売却されたが、2011年に生産を終了。その後、NEVSという中国企業がサーブの自動車資産を買い取ったが、復活が実現しないまま2023年にカナダ企業の手に渡り、現在に至る。サーブの名称は軍用機メーカーが現在も使用しているため、このあたりの権利事情は複雑だ。サーブの自動車と航空機は1990年まで同じ所有権下にあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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