プジョー208GTi 30th アニバーサリー
公開 : 2015.01.28 23:50 更新 : 2017.05.29 19:00
■どんなクルマ?
’自分の背中を叩く鞭’、あるいは ’自縄自縛’ とはまさにこのこと。205 GTiがあまりにもアイコニックな存在になりすぎたために、この30年の間プジョー製ホットハッチはいつだってそれと比べられ、そして悔しい思いをしてきた。
しかし208 GTiに至ってはどうやら状況が違うようだ。伝説的スーパーミニと同じ名前を冠するならば、相応のレベルが要求されることを学んだプジョーは、さらに800台のみの30周年記念車をデビューさせた。
パワー増強にサスペンションの大幅な改善、ステアリングのリマップなど80年代のオリジナルを意識しつつ、モダンでアグレッシブなキャラクターづくりにも抜かりのない限定モデルを英国の道でテストする。
■どんな感じ?
まずは1.6ℓのターボ・ユニット。標準のものからは8psと2.5kg-mの増強を果たした。またCO2排出量の低減にも成功しており、合計でわずか125g/kmとなる。
数値的にはわずかに感じるのは無理もないけれど、実際の0-100km/hタイムも0.3秒短縮の6.5秒となっている。体感的な変化は数値以上であり、基準車と比べると明らかに低-中回転域の力強さが増している。2000rpm台の終わりからレブ・リミットにかけた、なめらかな盛り上がりも記念モデルにしかないものだ。
外から聴くエグゾースト・ノートは、ドライバーを喜ばせようとしていることが伺える。’外から’ と書いたのは、残念ながら車内にはイキのいいサウンドが聞こえてこないからだ。この手のクルマならばフォード・フィエスタSTのように、ある程度の音の侵入を許してもいいのではないかとも思える。
もっとも高評価を与えたいのは6速のマニュアル・ギアボックス。エンジンのキャラクターに合わせてギア・レシオに変更を加えており、その感覚は驚くほど精緻感に富んでおり、なめらかにつるりと各々のギアに入れることができる。フィエスタSTと比肩するレベルだといっていい。
さらに改良が加えられているのはサスペンション。プジョー・スポーツによりフロントとリアのトレッド幅がそれぞれ22mmと16mm広げられており、車高は8mm下げられた208GTiからさらに10mm下げられた。