【グリーンノベーション】「グリーン」と「イノベーション」を融合 アウディ環境財団の取り組み

公開 : 2024.11.07 06:45

二次利用バッテリーに関する研究プロジェクト

グリーンスタートアップNunamの共同創設者 プロディップ・チャタジー(Prodip Chatterjee)は、二次利用バッテリーに関する研究プロジェクトの成功事例を発表。

2019年に始まったこの協力関係では、廃棄されたノートパソコンのバッテリーを小型のパワーバンクとして再利用し、さらに、アウディの電動プロトタイプから取り外された使用済みバッテリーモジュールを利用することにより、大型の二次利用バッテリーソリューションも実現した。

アウディ環境財団にまつわるお話。
アウディ環境財団にまつわるお話。

そして2023年後半には、Nunamが二次利用バッテリーによる充電ステーションを設置し、2台のイーリキシャーをインドの女性たちに提供し、地元市場へ商品を運ぶために活用されているという。

このプロジェクトにより、Nunamは女性の地域経済への参加を支援し、同時にアウディの開発車両の使用済みHVバッテリーの寿命や充電容量の長期的な耐久性について貴重な知見も得た。データはcircularbattery.orgで、オープンソースとして公開されている。

プロディップ・チャタジーとの協力関係は、2019年の「One Young World(OYW)」サミットから始まった。ベルリン在住のチャタジーが、アウディ環境財団のスポンサーシップに申請しこのフォーラムへの参加したことがきっかけで、このフォーラムは未来の緊急課題に取り組む場である。

「リトロ・デ・ルズ・ブラジル(Litro de Luz Brasil)」に対する支援

もう一つ、OYW奨学金から始まった協力関係は、アウディ・ド・ブラジルと共同で支援している「リトロ・デ・ルズ・ブラジル(Litro de Luz Brasil)」に対する支援だ。

リトロ・デ・ルズ(Litro de Luz)は、世界的な組織のローカル支部として、例えばアマゾンのような恒久的な電力アクセスがない郊外の村やコミュニティに、携帯用の照明を提供している。

アウディ環境財団にまつわるお話。
アウディ環境財団にまつわるお話。

この照明は小型のソーラーパネルをプラスチックボトルに入れて作られており、住民が夜間の帰宅や、読書、勉強を安全に行えるようにして、社会や教育生活に参加できるよう支援しているという。

また、リトロ・デ・ルズ・ブラジルは、村の住民にランプの製作や修理方法を教えており、2024年夏の最新プロジェクトフェーズでは、20の村に照明が提供された。

南米での生物多様性モニタリングプロジェクト

また、アウディ環境財団は、南米での生物多様性モニタリングプロジェクト、eDNA(環境DNA)プロジェクトも支援している。

このプロジェクトは、「ウィルダネス・インターナショナル」とスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)の環境ロボティクス研究所の科学者たちが実施しており、ドローンを利用し、未踏の地域や調査の空白地帯で、環境や生物に対する負担を少なくしながら、迅速かつ正確なeDNA採取を行うという画期的な方法を用いていると彼らはいう。

アウディ環境財団にまつわるお話。
アウディ環境財団にまつわるお話。

ドローンは、保護区域内の生物多様性に関する情報を収集するための、迅速かつ比較的安価な方法であると同時に、新しい技術をテストし、その結果を従来の方法と比較する機会にもなるという。

財団は、ミュンヘン工科大学の学生に対して2017年より毎年「持続可能資源管理賞」を授与しており、インゴルシュタット工科大学の学生に対しては、2022年から「THIサステナビリティ賞」を授与している。

さらに、財団では、湿地の保護やアウディ・オブ・アメリカと連携した沿岸再生プロジェクトを含む生物多様性保護のための助成プロジェクトを複数行っている。

財団は早春から晩秋まで、月に一度、ジョギングしながらゴミを拾う「プロギング」活動を行う。

「MACH MIT!(参加しよう!)」のモットーのもと、アウディの従業員は非営利団体との環境プロジェクトへの支援を申請でき、財団はプロジェクト費用の最大75%(上限2009ユーロ)を補助しており、これは財団設立年の2009年を記念している。

これまでに、野生のミツバチが巣を作るための壁、花畑、高床式花壇や植樹活動など、46のプロジェクトが完了した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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