ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台

公開 : 2024.11.23 17:46

英国人ジャーナリストが30年以上所有するジャガーEタイプ スポーツカーへ興味を抱いたのは自然な流れ スタイリングにもメカニズムにも、夢中なまま 英編集部が極上の1台をご紹介

150万ポンドの1962年式フェラーリが出火

ジャーナリストのマイケル・バーク氏は、1987年に南アフリカから帰国。2002年に、一線からは退いた。

それでも、2024年で34年目を迎えるBBC ラジオ4の番組は、今でも続いている。フリーランスとしても、活躍の幅を広げた。TVのリアリティ番組、「アイム・ア・セレブリティー」にも出演している。

ジャガーEタイプ S1(1962年式/英国仕様)
ジャガーEタイプ S1(1962年式/英国仕様)

バークが振り返る。「チャンネル4では、年金に関するドキュメンタリー番組を製作しています。その中で、オルタナティブ投資の対象として、クラシックカーを取り上げることにしました。自分も、古いクルマが似合う年齢になったと思いましたし」

「とある人物から、当時150万ポンド(数億円相当)という評価額だった、1962年式のフェラーリをお借りしました。念のため消化器を持った、リアシートに座る若い男性も一緒の状態で」

「運転席での撮影が始まってしばらくすると、フロントから煙が。ダッシュボードの下からは、小さな炎が見えました。路肩へクルマを寄せて脱出しましたが、リアシートのスタッフが慌ててボンネットを開いたことで、本格的に出火したようです」

「カメラマンは撮影を中断して、持っていたミネラルウォーターで消火に加わったんですが、撮影は続けて欲しかったですね。昔のカメラマンといえば、ウイスキーを持っていたものですが」。とバークが複雑な表情を浮かべる。

タイヤが変形しないよう、たまに走らせるだけ

彼が所有する1962年式のジャガーEタイプ S1は、ガレージから出る機会が少なかった。「タイヤが変形して固まらないように、たまに走らせるだけでした」

「ニュース番組のために、BBCの放送センターへこれで向かったこともあります。夏場は渋滞が心配ですが、それ以外は大丈夫でしたよ」

ジャガーEタイプ S1(1962年式/英国仕様)
ジャガーEタイプ S1(1962年式/英国仕様)

それでも数年前に、エンジンのヘッドから異音が出たことがあった。修理を依頼したのは、ジャガー・ヘリテイジ部門に所属した経験を持つ、サム・モートン氏。彼は復刻モデルの、Eタイプ・ライトウェイト・コンティニュエーションにも深く関わっていた。

現在はフリーランスの技術者。実家の農場の敷地にワークショップを構え、クラシックカーの面倒を見ている。

原因はカムフォロアー・ガイドだと判明。ヘッドを開くが、最終的にはクラッチの交換も必要になり、エンジンが降ろされた。すると、エンジンルームとスペースフレームの修理も必要な状況だった。

ここまでバラすと、当然のようにフロントサスペンションもリフレッシュ。一方を整えるなら、複雑なリアサスペンションも相応の状態にした方が理想的だった。小さなメンテナンスだとしても、特殊な設計で、本格的な作業が必要になる部分だ。

リアアクスルのノイズが小さくなく、シール類やベアリングも交換された。バークの目には望ましい状態へ映っていたボディにも、モートンの洞察力は向けられた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ジャガーEタイプ S1の前後関係

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