【第2回】森口将之の「もびり亭」にようこそ:ドライバー目線で一極集中を考える

公開 : 2024.11.13 17:05

ドライバー目線で移住を考える

仕事で日本各地の道路を走り回ってきた経験からも、東京はクルマを持ち、走らせて楽しむのに向いていない土地だと断言できます。

一方、仕事で行くことが多い長野県は、東京ほどの酷暑にはならないし、至るところにワインディングロードがあって、クルマ天国と言いたくなります。だからでしょう、現地を走っていると平日でもヒストリックカーとすれ違うことがあります。

長野県の観光道路、ビーナスライン。長野県にはこのほかにも戸隠/飯綱や志賀高原など、ゆとりあるドライブを楽しめる高原道路が多数存在する。
長野県の観光道路、ビーナスライン。長野県にはこのほかにも戸隠/飯綱や志賀高原など、ゆとりあるドライブを楽しめる高原道路が多数存在する。    森口将之

おそらくクルマも、爽快な空気を吸いながらの走りは心地よいと思っているのではないでしょうか。

フェラーリランボルギーニのようなスーパーカーも、本来であればそういうステージのほうが楽しめるはずです。にもかかわらず、現実は東京でもっとも多く見かけます。こうした車種には人に見せるという価値もあるからでしょう。

たしかに地方は走る場所はたくさんありますが、見てくれる人が少ないので、宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。

ちょっと脱線してしまいましたが、一極集中が公共交通だけでなく、クルマにとってもネガであることを理解してもらえたでしょうか。今の状況がエスカレートしてしまうと、お米を作ったり、お魚を獲ったりする人も足らなくなってしまうわけで、やっぱり何事にもバランスが大事だと感じています。

クルマを楽しめるのは間違いなく地方のほうが上です。クルマ好きには地方が向いていると言い換えてもいいでしょう。実際に自分のまわりでも、そういうライフスタイルを選んだ人は複数います。

二拠点生活ができる人、東京にはたまに行けばいいという人は、地方に住んで、その土地ならでの景色や食材を楽しみながら、カーライフを満喫してみてはいかがでしょうか。そのほうが愛車も幸せに感じるはずです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。

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