写真で見る 歴代の米国大統領専用車 極厚防弾ガラスに超強力エンジン、最高レベルのセキュリティ

公開 : 2024.11.07 18:05

リンカーン・コンチネンタルSS-100-X(1961年)

リンカーン・コンチネンタルSS-100-Xは、おそらく歴代で最も有名な大統領専用車だろう。ジョン・F・ケネディ大統領は、1963年11月22日にテキサス州ダラスで行われたパレードの最中、このクルマの上で暗殺された。

重さ3.5トンの同車に搭載されていたのは、最高出力350psを発生する特注の7.0L V8エンジンだ。通常のソフトトップとは異なり、取り外し可能なバブルトップと軽量メタルルーフのオプションを備えている。また、大統領専用車としては初めて、無線電話、消火器、シークレットサービス用格納式立ち乗り台、後部座席を持ち上げて大統領を見やすくする油圧式リフトなど、数々の装備が施されていた。

リンカーン・コンチネンタルSS-100-X(1961年)
リンカーン・コンチネンタルSS-100-X(1961年)

ケネディ大統領の暗殺を受け、100-Xは強化装甲、防弾ガラス、耐爆燃料タンク、その他の安全装備が追加された。また、危険性が明らかになったことで、100-Xは大統領専用車としては最後のオープンカーとなった。同社は歴代の大統領が時折使用した後、1977年に引退し、現在はヘンリー・フォード博物館に展示されている。

リンカーン・コンチネンタル(1972年)

1970年型のコンチネンタルに1972年型のスタイリングを与え、全長264インチ(6.7m)、1万3007ポンド(5900kg)の重装甲リムジンとしたのが同車。最高出力214psの7.5L V8エンジンを使用し、装甲板、防弾ガラス、シークレットサービスの自動小銃を保管するためのラックなど、安全装備が満載だった。ジェラルド・フォード(1975年)とロナルド・レーガン(1981年)の両大統領暗殺未遂事件の際にも使用されていた。

コンチネンタルは、大統領が立つためのサンルーフのような屋根の開口部を持つ最後の大統領専用車で、レーガンは1981年の就任式でこのサンルーフを使用した。

リンカーン・コンチネンタル(1972年)
リンカーン・コンチネンタル(1972年)

キャデラック・フリートウッド・ブロアム(1983年)

大統領専用車として数十年にわたってリンカーンが採用され続けた後、ついに1983年にゼネラルモーターズ(GM)がその栄誉を獲得した。ロナルド・レーガン大統領が使用したキャデラック・フリートウッド・ブロアムである。キャデラック・ドゥヴィルとも呼ばれる同車は、通常の市販車よりも長く、ルーフが高く、外から大統領がよく見えるように大きなガラスエリアが設けられている。

8.2L V8エンジンを搭載し、装甲ボディと分厚い防弾ガラスの重量に耐えるため、大型ホイール、頑丈なブレーキ、オートレベリング・システムも装備されている。

キャデラック・フリートウッド・ブロアム(1983年)
キャデラック・フリートウッド・ブロアム(1983年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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