写真で見る 歴代の米国大統領専用車 極厚防弾ガラスに超強力エンジン、最高レベルのセキュリティ

公開 : 2024.11.07 18:05

リンカーン・タウンカー(1989年)

1989年、大統領専用車の栄誉がリンカーンに戻った。大幅に改良されたリンカーン・タウンカーは、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が任期中使用していた。大統領専用車として採用された最後のリンカーン車である。現在、テキサス州カレッジステーションにあるジョージ・H・W・ブッシュ大統領図書館に展示されている。

リンカーン・タウンカー(1989年)
リンカーン・タウンカー(1989年)

キャデラック・フリートウッド・ブロアム(1993年)

そこでバトンはGMに戻った。ビル・クリントン大統領のキャデラック・フリートウッド・ブロアムは、ゼロから開発された最初の大統領専用車だった。それまでの大統領専用車と同様、多くのセキュリティ機能と安全対策が施されている。現在、アーカンソー州リトルロックにあるウィリアム・J・クリントン大統領図書館に現在も展示されている。

セキュリティ対策の秘密を守るため、現在でも図書館のスタッフはシークレットサービスの監視なしには内部に立ち入ることができない。

キャデラック・フリートウッド・ブロアム(1993年)
キャデラック・フリートウッド・ブロアム(1993年)

キャデラックDTS(2005年)

ジョージ・W・ブッシュ大統領のために、GMの研究開発部門がシークレットサービスの仕様に従って開発したモデル。シボレー・サバーバンのシャシーをベースにした四輪駆動車で、厚さ5インチの軍用規格の装甲ボディ、光のスペクトルさえも遮断するほど分厚い防弾ガラス、ランフラットタイヤと独自の空気供給装置を備えていたと言われている。

7.4L V8エンジンを搭載し、車重1万4000ポンド(6400kg)と超ヘビー級の同車に付けられたニックネームは、すばり「ビースト(野獣)」。10枚ディスクのCDチェンジャーや、マッサージ機能付きリクライニングシート、大統領用の格納式デスクトップなど、快適装備も充実している。

キャデラックDTS(2005年)
キャデラックDTS(2005年)

キャデラック「キャデラック・ワン」(2009年)

バラク・オバマ大統領のキャデラックDTSは極秘扱いにされ、現在でも燃料の種類やエンジン排気量については誰も知らない。噂によると、大型トラック用の大排気量ディーゼルが使われているという。

いくつかの詳細が判明している。厚さ8インチの装甲、5インチの防弾固定ガラス、爆発を防ぐために発泡スチロールで満たされた装甲燃料タンク、一般的に中型・大型トラックに見られるランフラットタイヤ、化学兵器による攻撃に備えて完全に密閉された車内などだ。

キャデラック「キャデラック・ワン」(2009年)
キャデラック「キャデラック・ワン」(2009年)

暗視装置、ポンプアクション式ショットガン、催涙ガス発射装置、マルチスペクトル赤外線スモークグレネードも装備されており、ロケットランチャーで武装しているという噂もある。「ビースト」の車重は1万5000ポンドから2万ポンド(6800kgから9100kg)と推測され、その重さのために最高速度は100km/h程度しか出せないようだ。

燃費? 米『Autoweek』誌は、1ガロンあたり3.7マイル(1リッターあたり1.5km)と推測している。長距離移動に使用されることは滅多にないので、問題はなさそうだ。シークレットサービスは長距離移動にはヘリコプターの「マリーンワン(海兵隊機で使われるコールサイン)」を好んで使用する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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