【内燃機関も忘れない】『2030経営方針』から紐解く、マツダの現在地とは

公開 : 2024.11.08 07:05  更新 : 2024.11.08 13:57

マツダが2025年3月期第2四半期決算説明会を実施。『2030経営方針』フェーズ1の最終年にあたる2024年の現状と、これからの展望を、篠原政明がレポートします。

2025年3月期は増収減益の見込み

11月7日、マツダは2025年3月期の第2四半期決算説明会を行った。

これによると、2025年3月期第2四半期累計実績では、グローバルの販売台数は約63万台、売上高は2兆3939億円、営業利益は1030億円、当期純利益は353億円となっている。

北米では、CX-50やCX-90が好調。過去最高の販売台数になる見通しだ。
北米では、CX-50やCX-90が好調。過去最高の販売台数になる見通しだ。    マツダ

通期では、グローバルの販売台数は約135万台、売上高は5兆円、営業利益は2000億円、当期純利益は1400億円となる見通しだ。対前年では、1723億円の売上高増に対し677億円の純利益減となる、いわゆる増収減益となる見通しだ。

これには、CX-50やCX-90が好調で北米販売が過去最高となる見通しながら、日本やアジア市場の販売が低迷していることや競争環境の激しさなどが要因とされている。

日本ではCX-8の販売が終了し、CX-60の品質問題などの影響があったが、問題を改善してCX-80も発売。中国市場では、新型BEV(バッテリー電気自動車)セダンのEZ-6を投入。いずれの市場でも巻き返しを図る。

収益基盤を再構築し、通期見通し達成に経営陣は一丸となって取り組むマツダだが、欧州でもCX-80が発売され、北米ではCX-50のハイブリッドも投入される。CX-60/70/80/90のラージ商品群もようやくラインナップが勢ぞろいする。米国では新世代店舗を開設し、日本でも2025年初めには東京・南青山にブランド発信拠点となるショールームを開設予定だ。

来年以降のマツダには、さらに注目しておきたい。

2030年経営方針 フェーズ1の最終年にあたって

そんなマツダが現在掲げている『2030経営方針』の進捗を見ておきたい。

2020年から2024年まではフェーズ1として、電動化・カーボンニュートラルへの準備と成長投資の原資獲得、2025〜2027年はフェーズ2として電動化へのトランジション、2028〜2030年はフェーズ3としてバッテリーEVの本格導入を目指している。

今年2024年は、『2030経営方針』フェーズ1の最終年にあたる。
今年2024年は、『2030経営方針』フェーズ1の最終年にあたる。    マツダ

現在はフェーズ1の最終年にあたるわけだが、まずはトップラインの成長による成長原資の獲得。この3年間で出荷台数と売上単価は増加し、売上高経常利益率も改善した。当期純利益の3年間累計は4900億円となり、各年の期初公表計画を累計で約1300億円上回る見通しだ。キャッシュフローの創出力も改善されている。

次に、原価低減活動の取り組みとしては、種類数の適正化(次期CX-5では現行モデル対比約60%の種類数制限を目標とする、など)、調達構造の変革(既存の購入部品において次期CX-5は現行モデル対比6%の原価効率化、など)、プロセス変革(専門的知見を有する共創パートナーとして平時から開発活動を推進、など)、コスト構造改革活動(2027年4月期までに約3%=1000億円の原価低減にチャレンジ、など)が行われている。

そして、電動化技術や電池の準備として、パナソニック エナジー社、パナソニック オートモーティブシステムズ社、AESC ジャパン社と電池供給に合意し、2030年に想定される能力の確保にめどが立った。また、パナソニック エナジー社より調達する電池のモジュールパック工場は山口県内に建設を決定し、次世代電池技術の自社開発を、グリーンイノベーション基金事業として推進中。社内に試験ラボを開設した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。

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