【内燃機関も忘れない】『2030経営方針』から紐解く、マツダの現在地とは

公開 : 2024.11.08 07:05  更新 : 2024.11.08 13:57

電動化時代でも内燃機関を忘れない

マツダの電動化について、もう少し詳しく見ていこう。まずフェーズ1では、トヨタ製のハイブリッドシステムをCX-50に搭載し、北米市場に投入する。中国市場では長安汽車との合弁会社で協業BEVとなるEZ-6を発売した。

マツダ製のハイブリッドシステムは、フェーズ2で次期CX-5に搭載され、フェーズ3ではラージ商品への技術要素の展開が検討されている。マツダ製のハイブリッドシステムはトヨタ製のものとは異なり、マツダらしい「エンジンを主体とした」システム、すなわち高い熱効率のエンジンに小さなモーターを組み合わせたシステムだという。

2023年ジャパンモビリティショーで発表されたアイコニックSP。
2023年ジャパンモビリティショーで発表されたアイコニックSP。    マツダ

フェーズ2では、専用のプラットフォームを採用したBEVも登場予定だ。これはフェーズ3に向けて、PHEV(プラグインハイブリッド車)への派生も検討されている。さらに中国市場ではフェーズ2においてクロスオーバーSUVのBEVを協業で投入する予定だ。

電動化を進めながらも、内燃機関にも積極的だ。ロータリーエンジンのエミッション適合性開発は順調に進捗している。昨年のジャパンモビリティショーで注目を浴びたアイコニックSPに関してのアナウンスはなかったが、開発は進められているようだ。

また、さらなる理想燃焼を追求し環境、走行性能を高めたSKYACTIV Zガソリンエンジンを開発中だという。これはスーパーリーンバーン(超希薄燃焼)を採用した4気筒エンジンで、2027年中の市場投入を目指している。エンジン全体の種類数は段階的に集約し、効率化を図っていく。

現在、マツダの電動化事業本部は300名を超える陣容で、事業戦略・技術・商品開発をワンストップショップ化、組織をフラット化している。ロータリーエンジンでは、開発グループが今年2月に再結成された。さらにソフトウェア人材採用強化に向け、R&Dのソフトウェア部門と人事採用部門を東京へ移転し、希少人材へのアクセスを強化した。

電動化を加速する社内体制を強化しながらも、内燃機関を忘れない。マツダの次の一手が楽しみだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。

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