「サンクターボ」遂に復活? アルピーヌA290へ試乗 EVでもホットハッチを諦める必要ナシ!

公開 : 2024.11.08 19:05

アルピーヌA290が登場 モーターやサス、サブフレームは独自アイテム 公道で不満ナシの220ps 乗り心地は穏やか 鋭い旋回と意欲的な加速 サーキットでも鮮烈 英編集部が評価

モーターやサス、サブフレームは独自アイテム

電動ホットハッチが、遂に、本当に誕生した。ヒョンデアイオニック5 Nも優れた1台だが、高価で大きく重く、公道にはパワフルすぎる印象は否めなかった。

アルピーヌA290は、古くからのクルマ好きにも響くに違いない。英国での販売は2025年3月からで、価格は約3万9000ポンド(約757万円)になる見込み。

アルピーヌA290 GTS(欧州仕様)
アルピーヌA290 GTS(欧州仕様)

A290が基礎骨格とするのは、AMPRと呼ばれるバッテリーEV用プラットフォーム。新しいルノー5 E-テックと共有する。ボディの寸法は、全長3990mm、全幅1820mm、全高1520mm。ホイールベースが2530mmと長い、小柄なハッチバックだ。

駆動用モーターの最高出力は、180psか220psから選択可能。車重は1479kgと重くなく、前輪駆動となる。フロア部分に敷かれる駆動用バッテリーは、52kWh。ケースは強固で、シャシー剛性の一部も担う。

スタイリングは、1980年代のルノー5 ターボを彷彿とさせる。直線基調で、ボディサイドにはキャラクターラインが彫られる。シャープなアルミホイールもカッコいい。

サスペンションの構造は、5 E-テックと同等。前がストラット式で、後ろがマルチリンク式となる。しかしスプリングとダンパー、アンチロールバー、油圧式バンプストッパーなどはA290の専用品が組まれる。

サブフレームも独自設計。駆動用モーターの位置も、5 E-テックとは異なるという。前後の重量配分は、57:43と若干前寄り。ブレーキディスクの直径は、前が320mm、リアが288mm。キャリパーは、アルピーヌA110と同一とのこと。

上質でゆとりある車内空間 カップホルダーなし

A290のインテリアを、筆者はとても気に入った。素材は全般的に上質で、造形は機能的。タッチモニターは、グーグルの技術を利用したソフトウエアが実装され、反応は良好。ナビの目的地設定も簡単だ。

エアコンやヘッドライト、運転支援システム、スタビリティ・コントロールなどは、実際に押せるハードスイッチで操作できる。デジタルとのベストブレンドに思える。

アルピーヌA290 GTS(欧州仕様)
アルピーヌA290 GTS(欧州仕様)

インフォテインメント・システムには、お遊び機能も備わる。0-100km/h加速を測るストップウォッチや横Gメーター、コーナリング技術の解説などが盛り込まれている。アクセル操作でのリフトオフ・オーバーステアなど、専門的な部分にも触れていて好ましい。

ステアリングホイールは、アルピーヌがF1から影響を受けたというデザイン。リムは円形ではなく、スポーク部分に復数のボタンが並ぶ。一方はドライブモード用で、他方は追い越し時などに便利なブースト機能用。回生ブレーキの強さを選ぶダイヤルもある。

フロントシートは大ぶりで、座り心地が良い。小さなハッチバックだが、後席側の空間も充分。身長が178cmの場合、前後に問題なく座れる。膝前にも頭上にも、5cm程度の余裕を残して。

シフトセレクターは、センターコンソール上。そのかわり、5 E-テックに備わるカップホルダーはない。前側のドアポケットは小さく、後ろ側にはそもそもない。荷室容量は326L。開口部が広く、広くはないが荷物は載せやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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