エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg

公開 : 2024.11.23 09:45

現代のマセラティを象徴するスーパーカー、MC20 フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンの競合との位置関係は? 数字競争から一歩引いた姿勢が生む個性とは 英編集部が魅力を深掘り

積算1万3428km ポルシェ911と同等の疲労感

順調に走行距離を伸ばしている、長期テストマセラティMC20。スーパーカー特有の乗りにくさはあるとはいえ、日々快調だ。

ただし、高速道路を走行中にタイヤの空気圧が低下。急遽、最寄りの整備工場へ持ち込むことになった。もっと酷い状態かと不安になったが、ホイールのバルブキャップがなくなっていただけで、エアの追加で大丈夫だったようだ。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

慌てて駆け込んだ整備工場は、なかなか雑然とした雰囲気。アニメに出てきそうなカッコいい場所で、思わず写真を撮ってしまった。オプションに約9万ポンド(約1746万円)も費やされたマセラティが、ひときわ美しく感じられた。

この軽いハプニングは、英国の自動車試験施設、MIRAの帰り道で発生した。英国編集部があるロンドンからは往復4時間の移動だが、快適なMC20のおかげで、ポルシェ911と同等の疲労感で帰ってこれた。

カーボンファイバー製のタブシャシーは、走行中の共鳴音が小さくない。それでも、高速道路を巡航している時の車内は、同じくらいシリアスな911より静かだと思う。

MIRAで車重を計測 長期テスト車は1710kg

さて、MIRAへMC20を持ち込んだ理由は、もちろん、このクルマを計測するため。公道を走らせていると、車重へ意識が向かうことも多い。車重計の狙った位置へピタリと寄せても、ドーパミンが溢れてくるわけではないが、重さは興味深い数字だと思う。

0-100km/h加速も計測した。カタログ値を実際に達成するため、特別なハイオクガソリンが給油され、レーシーなタイヤを履いた広報用車両を手配する手間も、長期テスト車両なら不要だ。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

ジャッロ・ジェニオというイエローに塗られた、長期テストのMC20の車重は、1710kgだった。60Lのガソリンタンクが満タンで、公道を走行可能な状態で。カタログ値では、1500kgがうたわれている。

小さくない差のように思えるが、理由は明確ではない。モノコック構造はカーボンファイバー製で、サブフレームはアルミニウム製。ツインターボのV6エンジンも220kgを切る。いずれも軽量化には配慮されている。ハイブリッド・システムも載っていない。

インテリアは、ラグジュアリーな雰囲気を漂わせるが、派手な装飾などはない。アナログメーターが似合う、クラシカルな味わいもある。もしかすると、シートが重いのかもしれない。カーボン製のタブシャシーは、肉厚すぎるのかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マセラティMC20の前後関係

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